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ありがとうございますと2人はそのまま退出してしまった……あれが普通なんだろうか?
「まぁ、あれが普通なんだよ?……親としては喜ばしいことなんだけどね……
さてさてアリス嬢……ちょっと相談なんだが、合同結婚式はどうだろうか?
カイルの従妹のレイカと、君の叔父上の結婚式だ。2回続けてするよりも一緒にしてしまおうかと思ってね。
まぁマット殿もこちらでは貴族ではないし大きな結婚式をする必要もなかろう。あの様子だとすぐにでも子供が出来そうだからね、急いで挙げなくてはいけないんだ」
疑問が顔に出てしまっていたようで恥ずかしい。
「私は構いませんが、レイカさんの準備は大丈夫ですか?」
大丈夫らしい。番探しの旅に出るからと、いつ見つかってもいいようにドレスは準備していたようだ。
白地にレイカの髪色や濃い色の花の刺繍までは出来ているのだとか。そこに相手であるマットの髪色である金と瞳の色であるすみれ色の刺繍を入れれば完成だそうだ。
指輪は大急ぎで作ることになるが、大丈夫なんだとか。
それからの1ヶ月は長かった。おそらく、カイルにとってはものすごく長く辛い日々だったと思う。
私の体が幼かったばかりに……マットとレイカのラブラブな様子をいつも見せつけられて、我慢するのが大変だっただろうな……
アリスとしても早く繋がってしまいたかったのだが、大人になりきっていないうちにそうなることで色々と弊害が出ても大変なので頑張って我慢した。
まぁ、一歩手前くらいまではしてしまっているのだが……
驚くことに、この一ヶ月の間の胸の成長は著しかった。あの絶壁は何だったのだと言うくらい、バインとなった。
まぁ、レイカに比べるとまだまだだが、普通くらいにはなった!ただ、痛さはもうほとんど無くなったので、これが限界なのかもしれない……
よく晴れた青空の下、幸せそうに微笑み合う2組の男女が寄り添って入場してきた。
身内と数少ない出席者だけの小さな結婚式だったが、誰も彼もみんな笑顔で、とても温かな式となった。
誓いのキスではどちらが長くするか新郎同士のバトルがあったようで、あまりの長さに新婦達が狼狽える光景に会場が爆笑で包まれた。
マットは結婚後、義父である王弟に伯爵位を賜ったが領地は無いので今の仕事を続けるそうだ。
アリスとカイルは結婚式後1ヶ月ほど城で密月を楽しみ、領地へと旅立った。
アリスの父である侯爵が亡くなったと報せが届いたのは、領地に着いて3日後の事だった。そうか……と言うのが正直な感想だった。
継承放棄の手続きは婚姻届を書いた時にしているので、父親が亡くなったからと言って何かすることは特に無かった。
今後お墓を参ることもないだろう。父親の事は、アリスの妊娠によってすぐに頭の片隅へと追いやられてしまった。
なんとアリスとレイカは同時期に妊娠しており、同じ満月の夜に出産した。
アリスは元気な女の子、レイカは元気な男の子が生まれた。それからも2人は謀ったかのように同じタイミングで出産し、それぞれ2男2女の子沢山ファミリーとなった。
毎年家族総出でアリス達の家にレイカ達が来ていたが、何年か経つ頃には一緒に住むようになった。
かなり年下の妻を貰った男同士色々思うところがあったようで、何かあっても寂しくないようにと2人で話し合ったそうだ。
妻としては色々思うところもあるが、番と一緒にいられる、ただそれだけで幸せだった。
田舎の和な公爵家のお屋敷は、今日もたくさんの子供達の声が聞こえてくる。
その傍らでは、2組の老夫婦が幸せそうに子供達を眺めていた。
これにて本編終了です。侯爵の片翼目線の話を1話だけ書く予定です。途中長らく筆が止まってしまいすみませんでした。最後まで読んでくださりありがとうございます。
次作品も投稿してます。でも、かなりやりたい放題なのでおおらかな気持ちで読んでくだされば幸いです。




