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「ダンジョンは呪われてるんだってさ」
「呪いってなんだよ」
「呪いにかかるとお医者様がやってくるそうだよ」
「医者っていや、あれだろ、街の外に追い出されるんだろ」
「そうだよ。おっかないねえ」
「親方聞きました? ダンジョンに入れなくなるって話」
「あん? なんだって? どういうこった」
「ダンジョンから呪いが溢れて来てるから、蓋をするんですって」
「領主様がダンジョンに攻め込むらしいぞ」
「なんだって?」
「今、告知官様が人を集めてるだろ。あれはダンジョンと戦争するためなんだと」
「戦争かよ。じゃあ徴兵とかあるんじゃないか。この街に居て平気なのか?」
「馬鹿言ってんじゃねえ。最初に倒れたアイツは外の商人の相手してたんだぞ。ダンジョンの呪いだったら、俺のが先に倒れるだろうが」
「そりゃそうっすけど。みんなそう言ってて」
「みんなってのは誰だ、おい。そいつは俺より偉いってのか、ああ?」
「なんでこんなに高いんだい。ぼったくりじゃないかい」
「人聞きの悪い。今は品薄なんですよ」
「どうしてさ、天気が悪かったわけでもないだろうに」
「さあて、どうしてですかね」
「ああもう、しょうがない、壺に半分だけおくれ」
「まいど」




