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 足が痛い。手が痛い。体全体が痛い。


 別に怪我をしたわけじゃないし、原因は分かっている。

 ウリボアだ。

 この前、一人でウリボアを狩った。罠に掛けて転んだ所を倒したから、正面から決闘したわけじゃないけれど、一人で狩った。

 その時、罠に掛かるまで延々と逃げ回っていたのが原因で。この痛みはつまり、筋肉痛だ。


 宿の手伝いをし始めた頃は、水桶が重くて、ずっと筋肉痛が続いていたような感じだった。慣れてくるともう痛みも何もなくなって、少しだけ力が付いたような気がしてた。

 そういう意味では久々の筋肉痛。これが、痛い。

 痛いけど、水を汲んで来ないと、飲み水がないし、火を起こさないと食事も出来ない。

 体はとても痛い。痛いけど肉は美味しい。

 昨日の夜も、今日の朝も肉を食べた。残しておいて腐ったらもったいないし、街まで売りに行く気もないから、麦よりも先に肉だ。そう言い訳してお腹一杯に肉を食べた。


 料理に使った分の泥炭を拾って来ないといけない。でも体が痛いから後回しにする。すぐそこの川までならともかく、泥炭が取れる場所は遠い。筋肉痛がキツイから、途中でウリボアに会ったら逃げれない。


 肉を少し切り分けて、塩をすり込んでみる。

 肉屋ギルドに雇われてダンジョンに入ったときに、肉の処理も手伝わされた。言われるままに作業しただけで、それがなんなのかは説明してくれなかったけど。でも保存するための加工のはずだ。よくある冒険物語での定番は干し肉で、塩辛いのが決まり事だし、多分、塩で加工するはず。


 本当に正しいのか分からないから、塩をすり込んでみたのは、いくつか切り分けたものだけにした。ダメだった時にお肉も塩もなくなってしまうのは恐ろしい。街にはまだ帰りたくないから。

 作業が終わったら、川の水で手足を洗ったり、寝床の上で足を揉んだりする。

 筋肉痛もキツイし、昨日から体がなんか生臭い。すぐ傍に生肉があるから臭いがなくなることはないにしても、手足くらいは臭いが落ちて欲しくて何度か洗った。でも臭いが落ちた気がしない。


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