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 ここ数日の宿は空いている。いつもの半分くらいだろうか。近くの村から農作物を売りにくる村人の姿も、遠くから塩を運んでくる商人の姿も少ない。

 給仕が楽になるのはいいのだけれど。


 ふう、と。静かに息を吐く。


 あの子が奥さんに追い出されてから、また朝の仕事も回されるようになった。そのくせお給金は変わらないんだから腹が立つ。私以外に給仕なんていないのに「いやならいいんだよ、辞めたって」なんて訳知り顔で言ってくるのも腹が立つ。

 だからいろんな人に、奥さんがケチで仕事を増やしても給金を増やしてくれないと言って回っている。街の皆が奥さんのケチさを知ってれば、仕事を辞めさせられたって、他のお店が同情して雇ってくれるに違いないもの。


 でもここ数日の宿は空いてる。

 その分、朝の水汲みの量も減るから、仕事は少しだけ楽になった。

 だけど実入りも減ってしまった。

 いつも声を掛けてくれるおじさんが泊まりに来ないのだ。その分の実入りは減ってしまう。昨日なんて、いつも泊まる度に声を掛けてくる商人が来たのに、今日は調子が悪いからと断ってきた。あんな大きな荷物を担いで来て、調子が悪いもなにもないでしょうが。


 でもどうしよう。このままだと食事の回数を減らさないといけないかも。

 街に人に声を掛けてみようかしら。でも、相手を選ばないと、奥さんが出て来るかもしれないし。奥さんの居ない独り者って誰か居ないかしら。あ、冒険者はどうかしら。村から出て来て冒険者をやってる人で、奥さんが居る人なんて居ないわよね。


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