表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/187

87

 寝る場所にある棚の下の草は、生えたままにしておいた。

 それは引き抜いて燃料には使っていないという意味で、川にウリボアが水を飲みに来ることが分かってからは、草を結ぶようにしている。自分が引っかからないように場所を決めて、だけど。ブービートラップ? スネアトラップ? どう呼ぶのが正しいのかは分からない。雑学の本だったか、マンガだったか。ウリボアの突進は怖いから、足止めになってくれるとうれしい。


 燃料にする草は、少し離れたところから抜いてきた。今は乾かしている。

 木があればよかったけど、流石に生えてない。もっと奥に行ったら生えてないだろうか。草の量は少ないから大事に使わないと。あ、蝙蝠の羽とか、燃えるんだろうか。


 少し離れた所の草はすぐに使い切ってしまった。

 蝙蝠の羽とか骨とか、食べたあとの残骸も燃やしてみたけど、燃料と言うには微妙だし、もう使い切った。

 今日はもう少し奥まで行ってみないと。

 寝る場所はここだから、時間を目一杯使っても半日で折り返し。

 火がないと、もしウリボアを狩れたとしても食べれない。何か探して来ないと。


 奥には沼があった。川が蛇行して淀んだのか、水の濁った場所。水の中からも一杯草が生えていて、端の泥のところに踏み込んでしまった。いきなり足が沈みだして物凄く怖かった。

 そこまでの道のりでも、それなりに草は生えていたから、すぐに燃料が無くなることはなさそう。でも、草は燃え尽きるのが速いから困る。

 ふと思い立って、沼の近くの泥を少し持ってきた。桶に入れて運んだのを棚の上の、もう草を全部抜いてしまった所に、薄くして広げる。桶は川で洗って来ないと。


 翌日には泥は乾いて土になってた。黒っぽい土。墨色かも。

 乾いた泥を置いて、傍に置いた草に火を付けてみると、燃えた。よかった、これが泥炭で合ってた。石炭になるずっと手前の泥。燃料としては質が悪いとかで、あんまり使われていないというのは、戦争中の逸話だっただろうか。


 誰も居ないからだろうか。

 ダンジョンの中だからだろうか。

 理由はよく分からないけど、最近は昔に読んだ本のことばかり思い出す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ