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 居場所は確保出来たように思う。

 壁際の少し高くなっている棚のような場所。先住民の蝙蝠はこん棒を使って追い払った。いや、倒した? 何匹かは倒せてご飯になったけど、もっと沢山いたように思う。夜寝る頃には戻ってきて頭の上を飛んでいたりするのも、こん棒で追い払っているうちに何匹か倒せた。数日それを繰り返しているうちに蝙蝠が来なくなったから、居場所は確保出来たように思う。

 今の寝床なら、ウリボアは上がって来れないし、少しは安全だ。

 奥のほうで寝ている分には、川の近くを何かが通っても見つからないし。実際、何度かウリボアが川で水を飲んでたけど、見つからずに済んだ。見つかったら突進してくるから、それがなかったってことは見つからなかったんだろう。


 棚の上に生えてた草はだいたい抜いて、ベット代わりに敷いている。あんまり量がないから少し動くだけで地面に当たっちゃうけど、ないよりはマシ。宿の使用人部屋にあったような、草に被せる布があるともう少しマシなんだろうな。

 明かり用の油はあまり残ってない。

 明かりにはほとんど使ってないけど、蝙蝠を焼いて食べるのに大分使ってしまった。

 この辺りは、棚の下にも草が生えているから、抜いて置いて燃料代わりにしようか、それともどこか別の所から持って来ようか。棚の上に逃げ込める範囲で、と思って少しずつ回りを調べてみると、ここより奥のほうでも草が生えていることが分かった。

 どこから入ってくるのか、光がある分、植物も生えている。

 ひょっとして、位置的には街の外なんだろうか、街の中だったら建物だらけだからそんなに光は入って来れないような気がする。


 蝙蝠のおかげで、食料はまだある。水も川がある。塩もまだまだある。いつも少ししか塩を使ってない。人には塩と水が不可欠だという本を読んだ覚えはあっても、一日に必要な量は書いてなかった。宿のおじさんは、スープにほんの少ししか入れてなかったし、少しで足りるはずだけど。よくわからない。兵士の人たちと一緒にいた時の料理担当の人も少ししか入れてなかったし、きっと大丈夫。

 大丈夫。

 もうしばらくはダンジョンに居よう。何か足りなくなったら、その時だけ、ほんの短い時間だけ街に入って買い物をすればいい。

 大丈夫。

 伝染病はきっと、ここまでは来ない。


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