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「また病で倒れたヤツが出たってよ」
「またかい? 今度はどこだい」
「革加工ギルドのメンバーだって話だ」
「あのギルドはこの前も誰か倒れていなかったかい?」
「ああ、そうだ。呪われてるんじゃないかって噂だ。お前もあそこには近づくなよ」
「先日、そこの通りで倒れていた人。冒険者だったんだってね」
「そうなのか。やっぱり生き物を殺してばかりの人は呪われやすいのかね」
「かもしれないな」
「親方、でも」
「でもじゃねえ! 仕入れもなしに何をやるつもりだてめえは! さっさと行って来い!」
「だけど、あそこは呪われていて」
「呪いなんてねえ! とっくにお医者様が浄化して下さってんだ! とっとと行けというのが分からねえか!」
「やあご主人、急で悪いんだがね。明日の朝に街を立つことになってね」
「そうですか」
「いや、すまないね、急な用事でね。こちらも困ってしまうんだがね、急なものだから」
「次はまた一月後くらいですか」
「ああ、どうだろう。実に急な用事なものだから。もしかするとしばらく間が空くかもしれないね。なにせ急な用事でね」
「そうですか」




