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ダンジョンから出た時の解放感。それは魔物がいない安全な場所に来れたからなのか、それとも広いとは言えダンジョンという閉鎖空間から解放されたからなのか。
ダンジョンの入口、空が見える所まで来て皆が一斉に息をはく。まだ階段をぐるぐると登って穴の底から出ないといけないが、ここまで来れば街に帰って来たも同然だろう。
荷物を担いで階段を上がる。
肉が重い。しかし狩りの成果を捨てるわけにもいかない。小説にあるような重さを感じない持ち歩ける倉庫があればいいのに。あれはゲームが元ネタらしいけど。昔のゲームのアイテムは薬草1つでも金属鎧1つでもアイテム枠では1つのカウントだったからだと、何かの雑誌で読んだ覚えがある。じゃあ今は重さで変わるんだろうか。それなら倉庫に仕舞おうとしてもこの肉は重くて入らないかもしれない。
考え事をしている間に肉屋ギルドに着く。ここで肉は売る。おじさんがギルドの人と話をしている。他にも、皮を運んでる人もいるから、次は革加工ギルドだ。二手に分かれれば早いのに、全員で回るのが決まりだとか言ってた。
やっと長屋まで着いた。革加工ギルドに行く途中で仮面を被った人たちが居て、遠回りすることになったから随分と時間が掛かった。あれは宗教の人だろうか、鳥っぽい仮面を被っている人だった。皆、すぐに引き返して別の道に行ったし、嫌われているのかな。
長屋の前で、お金を分配する。おじさんのすぐ隣には、長屋の管理人がいて、その場で長屋の代金を取って部屋を割り当てている。なんかここだけは連携して動いてる感じだ。手元に残ったお金は思った以上に少ない。食事代で、何日分だろう。ダンジョンに狩りに行ってる間に食べる食事代を省いたら。ちょっと溜息。おじさんは、明日は休みで明後日からまたダンジョンだ、なんて言ってたっけ。また連れて行ってもらわないとすぐにお金がなくなってしまう。




