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 街のすぐ近くまで来たことを臭いが教えてくれる。

 街のこちら側には、街の糞尿を捨てる穴があるから、はっきり分かる。鼻がバカになるから近寄りたくはないが、これもお役目だ。街の近く、特に穴からちょっと足を延ばせば入れる位置にある森は、不心得者が出易い位置にある。勿論、そんな奴は滅多に居ない。見つかったら腕を落とす決まりだからだ。それでも、街に住めない奴ら、特に昼間出入りをして糞尿を街から運び出している奴らは、毎日穴の傍まで来るし、そして奴らは貧乏だ、食べる物に困って森に入って来ないとは言い切れない。

 とは言え。

 この街にはダンジョンがある。肉が欲しければダンジョンというのが普通だ。入るのに金が取られるわけでもない。だから、この森は他の街に比べて、罪人は滅多に出ない。


 穴の近くまで見回ってから、森の中に戻る。

 森の奥にある家まで、来たときとは別の道を通って帰ろう。

 森の魔物を倒し、森の恵みが領主様の許可なく取られないように見回りをする。そのお役目の報酬として、森の中の果物や茸は自由に取ることが認められている。

 季節に関係なく森の中で過ごすのは、街の者には無理だろうが、俺には親父から教わった知識と知恵がある。そうだ、街のやつらは肉一つ、野菜一つ食べるのにも金を払うそうじゃないか。腰にくくりつけたウサギをポンポンと叩いて少しの優越感に浸る。俺は好きなだけ獲物を狩って、好きなときに食べることが出来る。街の奴らはまったく不自由なものさ。


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