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 気が滅入る話を聞いてしまった。

 情報収集のつもりで聞き耳を立てていた中で、聞きたくて聞いたわけではないとも言えないあたり、大分気が滅入る。


 最近は食事を屋台で済ませているのは、宿の食事に飽きたという理由もあるけれど、街の食事の種類とか相場とか噂話を拾おうと思ってのことだ。

 何冊か読んだ異世界物の小説だと、シビアな世界で戦って生き残るような物語の他には、料理や物づくりで地位を築くという話とかがあったのを思い出したんだ。


 自分にはもちろん戦いの技術も力もない。かと言って職人でもないし、料理の経験なんてこの街に来てからしかない。宿で一人考えても、やれることが思い浮かばないくらいにない。だけどもうちょっと考えて見ようと思って、街の中で情報を集めながら考えて見ることにしたんだ。言葉はまだ不安があるから、他人が近くで話しているのを聞くだけなんだけど。

 それでもそれなりには言葉も聞き取れるようになったし、食事しながら大声で話しをしている人も少なくないから、多少の収穫はあると思っていた。ネットが使えればそんなことを考える必要もないのに、とは思いながらでも。


 大半は噂話とも言えない雑談で、次に多いのは愚痴。職場の話とか何々が高いとか知り合いが恋人つくった爆発しろとか。いや、爆発しろとは言ってなかった、しょんべん被ってしまえ、だった。実際、窓から投げ捨てる人がいるから危ない。庶民の自宅はおまるを使うらしく、トイレがあるのは宿や兵舎のような人が集まる場所くらいらしい。だからたまに大きいほうも降ってくる。

 一応、投げ捨てるのは禁止されているらしく、宿の場合だと桶一杯いくらで子供が汲み取っていく。どこに捨ててるのかは知らないけど。


 ああ、気が滅入る。もっと気が晴れるような連想の方向ってないんだろうか。

 夕食を食べたばかりなのに気分が悪くなってきた。


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