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 服を買うことは出来たが、予定とはちょっと変わってしまった。

 教えてもらったお店で扱っていたのは布製の、街中でよく見る感じの服だった。それが想像以上に高かった。


 同僚のお姉さんも宿の主人夫婦も、いつも同じ服を着てるし、服は高いんじゃないかとは思っていた。

 でも、冬の稼ぎの半分とは想像以上だった。古着なのに。

 結局、その店で買うのは諦めて、食事を探しながら街を散策していたら、露天で服を売っている店があった。

 食べ物ばかりが並んでいる屋台通りとは別の通りで、そこには服を扱っている店のほかに食器を並べているお店や髪飾りを並べているお店なんかもあって、あの屋台通りとは違って男性も女性も買い物をしている通り道。


 そこで見つけた皮のジャケットはやっぱり古着だったけど、布製の服の半分以下の値段だった。

 それでも予定より大分高かったので躊躇したが、皮なら丈夫だろうしとそれを買うことにした。ごわごわしてちょっと動き難い。

 前から持っていた服は皮よりはマシな着心地だから、これを下にして上着に皮のジャケットにしよう。


 宿に戻ってから同僚のお姉さんに聞いてみたら、布が高いんだからしょうがないでしょうと言われた。

 買った皮のジャケットは、ダンジョンの中で狩られた魔物のもので、肉を食用にした余りものなんだそうだ。

 街の産業はよく分からないけど、布が高いのはなんでだろう。産業革命の始めが紡績機だったという話は学校の授業で聞いた覚えがあるけれど、この街には紡績機もないんだろうか。

 手で糸を紡いでいたら高くはなるんだろうけど。そういえば、この街はどこにあるんだろう。


 まだ産業革命が起きてない街。街の中には自動車も自転車もなく、車と言ったら人が引く荷車しか見た覚えがない。そういや馬車もまだ見てないな。


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