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買い物をしようと、宿を出る前にお店の場所を聞いてみた。
ちょうど出勤した同僚のお姉さんに。
そろそろ替えの服が欲しいし、町中でも武器を持って歩いている人ばかりだからナイフの一つも買おうかと思って。
手持ちの服は、宿で初めて気がついた時に来てた服と、冬の間の仕事で支給された服だけ。
冬の間は寒くて重ね着してたから、実質一着しか持っていない。
洗濯の時の替え。なんてものはなく。
それ以前に、ここでは洗濯するという習慣すらないみたいだ。
たまに壁に叩きつけて埃を落としてる人や、天気の良い日に日光に当ててる人がたまにいるくらいで、井戸への水汲みでも服を洗ってる人を見たことがない。
ずっと同じ服。という意味では学生服もそうだし、あまり気にはならなかったけど。肌着まですべてとなると、何か体が痒いような気がしてくる。
なんでだろう。文化と言えばそうなんだろうけど、日本も昔はこうだったんだろうか。いや、違うよな、昔話だと「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」だもの。
それでも一冬ずっと着てると、擦り切れたりほつれたりしてくるので、代わりの服が欲しくなった。
一応肌着くらいは洗いたいし。
そしてナイフ。
ダンジョンの中に入るならともかく、街中でナイフを使うような場面はないと思いたい。ただそれは武器としての話。
屋台をやることは多分ないけど、宿で朝食の支度をするからナイフを使う場面は結構多い。今は借りているが、自分の分を持っていてもいいだろうと思ったんだ。屋台をやることは多分ないけど。
そう言えば、昨日の屋台のおじさんを、今朝は井戸の水汲みで見かけた。
よく考えたらいつも居た人だったように思う。
宿を出て屋台をやったとしても、朝の水汲みは変わらないのか。多分やらないけど。




