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パン、パン、パン。
晴れた空の下で今日も古着を棒で叩く。
買い取った古着は汚れてるし、裾なんて泥がついてるくらい当然だ。
中には食べこぼしなのか、怪我でもしたのか、色が変わったり、裂けてしまっているのも少なくない。
晴れた日は、古着を外に干しては棒で叩く。
そうすれば泥は乾いて、棒で叩く度に埃となって飛び散る。
色が変わってしまっている所は切り落としてしまうことがほとんどだけれど、大抵は切り落とすにはもったいない広い布の真ん中がそうなっていたりする。もったいない。
だからいい生地の時には桶に水を汲んで汚れを落とす羽目になる。
水につけて、石鹸をつけて、擦る。
やり過ぎると、汚れは落ちても布がボロボロになってしまうから、力加減は大切だ。
落ちなかったときにはしょうない。他の生地と同じく切り分けて当て布のほうに回す。
春になると、重ね着をしなくてもよくなるから、古着を売りにくる人が増える。
だから今日も棒で古着を叩く。
布を選んだり、縫ったりする時間よりも、こうやって叩いている時間のほうが長いんじゃないかってくらい。
もう、綺麗にしてから古着を売りに来てくれればいいのに。
折角、沢山の古着を買い取ったんだし、布をよく選んで少し綺麗な服を縫おうかな。
匂い消し用のハーブと一緒にしまってあるとっておきの生地を頭に浮かべる。春らしい色の生地が少ないのは残念だけど、少ない分、目立つ位置に使えば見栄えのする服が縫えるに違いない。
そう考えると、古着を叩くのも嫌になってくる。埃取りも程々に家の中に引っ込んだ。




