表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/187

27

 まったくついてない。


 いつも、馴染みの商人が入れてくれる野菜と肉。

 普段の料理はそれで間に合うが、たまにはこうして市場に買いに出る必要がある。

 大抵は塩や日干ししたハーブ、砕いて辛味に使う木の実。

 今日もそんな買い出し。


 ただ、嫌なことに買うのは塩。あれは重いから嫌い。そして奥さんのわがままで果物も買っていかないと。

 出かける所を見つかるとはついてない。


「そこのきれいなお姉さん!取れたてのポメロだよ!一つどうだい」


 威勢のいい声に笑顔だけを返すと、そのまま通り過ぎる。


 ポメロは酸っぱいから嫌い。

 果物を買うなら甘いのがいい。エドゥリスを食べたいけど、あれは夏のものだし、山を越えた向こうでしか育たないみたいで随分と高い。

 二つに割った時の甘酸っぱい香りも好きだし、スプーンですくって食べると柔らかい果肉と固い種が混ざって楽しい。


 奥さんから頼まれた果物も甘いやつだし、まとめて買うから少しおまけしてもらえないかな。

 もちろんおまけでもらった分は自分の物にしよう。

 あれは皮が固いから割るのにはちょっと苦労するけど、中は柔らかいし、春先の今しか食べれないし。それに近くの村で取れるからあまり高くない。


 そう思うとちょっと気持ちが軽くなった。

 でも籠に入れた塩は重い。


 あれ?前を歩いてる人、黒髪だわ。

 珍しい黒髪を見て、あの子を思い出す。

 というか本人じゃないの?あれ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ