表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/187

22

 洗い直している間に夕食の準備をする時間になってしまった。

 洗おうとしていた籠には夕食に使う野菜が盛られ、既に洗うことも出来ない。


 刃物や皿などの食材を洗った後で使うものだけはなんとか洗う。

 汚れが酷く気になる。

 水を汲むのは大変だけど、洗わないのは、怖い。


 そのまま井戸の側で野菜の皮を剥き、切る。


 ふう、と一息。


 回りに並んだ野菜で夕食の献立が想像出来るのは、いつも変わらないからだろう。

 今日もいつもと同じ、塩味の野菜スープ。それに少し堅いパンがつく。


 昔読んだ物語だと、元の世界の知識を生かして料理に工夫したり、内政に意見したりとかあったな。

 ここでだって出来なくはないんだろう。知識があれば。


 料理なんてほとんどしたこともなかった。


 出来上がった形は知っていても、作り方を知っているものなんてほとんどない。

 むしろ、物語でよく出て来たマヨネーズとか唐揚げの作り方のほうが詳しいくらいだけど、それだって細かい手順まで描写されているわけでもない。

 油を使う?それは何の油なんだろうか。スーパーには何十も油の瓶が並んでいたけれど、区別がつかない。

 ジャガイモで農業発展?ジャガイモはジャカルタから伝わったからジャカルタイモ、それが短縮されてジャガイモとか読んだ覚えがあるけど、まあジャカルタはいいとしても、こっちにもジャガイモはあるんだろうか。キャベツなのかレタスなのかわからない葉野菜とか、カブなのか大根なのかわからない根野菜はよく切っているけど、ジャガイモを見た覚えがない。この辺りにはないのだろうか。

 野菜の下ごしらえは終わったけれど、次にやるべきことは見つからない。


 日の光は青から赤へと、誰にも気が付かないようにと、こっそりと色を変えていく。

 それをただ、眺めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ