表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/187

184

 何かがハジけ、火柱が上がる。

 火の勢いは増すばかりで、火が消える理由など一つもない。

 始めに燃えた肉屋ギルドの建物には、燻製用の燃料が大量に保管されていたのも不幸を積み上げる一因となった。


 元々、街は壁に囲まれ、容易には広げることが出来ない場所だ。

 そのために、家は縦に積み重なり、道には露天がひしめき合うことで人口の増加に対応してきた。

 呪いの蔓延と共に、道を塞ぐ露天の数こそ減ったものの、人が居なくなったからと言って建物が減ったわけでもない。

 そんな建物が密集した中での火事は、容易に火を燃え広がらせる。

 本来であれば、それに対応するのは兵士であり、街の住人だ。

 僅かながらも水を掛けて火の勢いを落とし、周囲の建物を壊して延焼を防ぐ。


「てめえっ!」


 それを乱闘が台無しにした。

 殴り合う肉屋ギルドと冒険者たちの乱闘は、本来、火を消す役割を担うはずの手を止めさせた。

 止めに入った兵士が殴られ、転がった肉屋ギルドの職人に野次馬が巻き込まれる。

 乱闘もまた、火事が燃え広がるように広がっていく。


 ドカンッ。


 またどこかで火柱が上がる。

 肉屋ギルドの周囲には、食料品の店や飲食店が多い。

 爆発の元は油か、それとも小麦粉か。

 周囲の建物を壊し、延焼を防ぐはずの兵士達は乱闘に巻き込まれている。

 大きな火事なら兵舎から休憩中の兵士であっても駈けてくるはずが、その姿は見えない。

 炎は祝福を受けたかのように燃え広がってゆく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ