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ガタン。ゴロゴロゴロ。
殴り飛ばされた文官が倒れ、転がる。
「お前! 何をっ!」
「今の言葉を聞いてただろ! 領主は俺達を殺す気だ!」
巡回兵の隊長は、転がったままの文官を飛び越えて部屋を出る。
「お前ら、装備を身に着けろ。俺の剣を持って来い!」
さっきの文官の命令を聞いていたのか、真っ青な顔をした数人の兵士たちが、隊長の姿を見ている。
「急げ! 領主に直談判に行くぞ!」
隊長の一言で動き出す兵士達。だが、それを止めるものもいる。
「馬鹿な真似をするな! 反乱でも起こす気か!」
「話をしにいくだけだ!」
「話をするのに剣は必要ないだろうが!」
追いついてきた衛視の隊長が、そう言って待ったをかけた。
隊長達が言い合いをしている間にも、巡回兵が装備を身に着けて集まってくる。
「お前らも馬鹿な真似はやめろ!」
騒ぎを聞きつけて休憩中だった他の兵士達も集まってくる。




