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 バタンと、大きな音を立てて扉が閉まる。

 あの調子だと、また見つからなかったんだろう。もう何日経っているのか、いい加減諦めればいいのにと思う。数人のギルド員を引き連れて、よく飽きもせずやるもんっすね。

 とは言え、手掛かりの一つくらい見つけてくれないと、という気持ちもあるんすよね。代わりにカウンターに居るのにもいいかげん飽きてきたんすよ。


「お帰りっす。なんか分かったんですかい」

「ああ? 見て分かんねえのか!」


 全身で不機嫌を示すかのように、荒々しい仕草で椅子に座った。


「兵士のやつらも犯人を見つけれない無能のくせに、こっちの邪魔ばかりしやがる」


 不穏な言葉っすね。


「兵士に邪魔されるなんて、何やらかしたんすか」


 普通に暮らしてて兵士に止められるなんてことはないんすけどね。

 以前から強引な所があったのが、最近は特に酷い。財布を盗られたのがそんなにショックだったんすかね。


「ああ? 露天の奴らに話を聞いただけだ。兵士の奴ら、自分達は犯人を見つけられないくせに、俺が犯人を捜すのまで邪魔しやがる」


 その言葉でなんとなく想像はついたっす。

 露天の奴らを脅そうとしたのか、それよりももっと直接、暴力で聞き出そうとしたのか、そんな所っすかね。


「絶対に奴らは犯人を知ってる。知ってて庇ってやがるんだ」


 知ってるなら兵士に話していそうなもんすけどね。犯人を庇うほどの繋がりがあるのかどうか。

 繋がりで言ったら、買い取りのカウンターで仕事をしてきたこいつの繋がりはどうなんすかね。

 露天の奴らと直接の繋がりはないにしても、冒険者とは買い取りカウンターで何度も会っているわけで。露天の奴らにも、冒険者と同じように村から出てきた奴は少なくないわけで、冒険者から話を回してもらえば、話を聞き出すことも出来ると思うんすけどね。


「ちくしょう舐めやがって」


 あ、なんかダメっぽいっす。

 このおっさんにカウンターの仕事は向いてなかったんすかね。本人は肉屋ギルドの顔だとか言って、カウンターの仕事を喜んでたみたいっすけど。


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