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 街のすぐ近くまで来たことを臭いが教えてくれる。

 街のこちら側には、街の糞尿を捨てる穴があるから、はっきり分かる。鼻がバカになるから近寄りたくはないが、これもお役目だ。街の近く、特に穴からちょっと足を延ばせば入れる所にある森は、不心得者が出易い位置にある。

 穴の近くまで来ると、丁度、汚物を捨てに来ている男が居た。

 貧民にしては上等な服を着ている。

 手元が覚束ないのを見ると、街から追い出されたばかりだろうか。いや、歩く姿もぎこちない。何か病を罹っている可能性もあるな。


 木の陰に隠れたまま、男が街の中に戻って行くのを見届ける。森にさえ入って来なければ問題はない。

 滅多に居ないはずの不心得者だが、最近は多い。

 今年になって二人目の不心得者が出た。その者は兵に引き渡すまでもなく、森の入口近くで息絶えていた。

 今年は飢饉になるような気候ではなかったと思うが、何があったのか。

 もし、どこかから難民が流れ込んで来たり、屈強な魔物が近くの村を荒らしているのなら、森の中も無関係とは言い切れない。

 不心得者はしばらくの間は減らないだろうし、魔物なら森に入り込むことも考えられる。

 昔、強い魔物が流れて来た時には、魔物の通り道を探し出し、兵士を魔物の元まで案内したものだ。

 あの時は森も随分と荒れた。

 戦いの場になった場所には、まだ木が育っていない。低い木が疎らにあるだけだ。


 何が起きてるかは、今度、門を守っている兵士にでも訪ねてみよう。

 今はまず、森と外の境界の見回りを強化しなければ、貧民だろうが魔物だろうが、森に入り込んだのなら痕跡が残る、それを見落とさえしなければ森は安泰だ。


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