表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/187

148

「呪いが収まる気配がありません。こうなればダンジョンを閉鎖するのがよろしいかと」

「却下だ」

「ですが、兵士達でさえ大きな被害を受けて撤退してきたとか……」

「くどい!」

「領主様……」


 尚も食い下がる文官を睨みつけて釘を刺す。


「先に勝手にダンジョンを閉鎖したものがあったが、貴様もそれをするか? 今度は解任程度では済まさんぞ?」


 引きつった顔で退場していく文官をそのままに、書類に目を落とす。

 月毎に上げられる通行料、広場の使用料、商業ギルドから上がってくる売買に関わる税収、それら全てが記憶にある昨年のものよりも少ない。

 街の門を警備する兵士や、街中で領主の命令を広める告知官からも、街の中の人が減っているとの話が上がっている。

 その原因は呪いにあるのは明らかではあるが、いくら医者が浄化を続けても呪いが収まる気配がない。


「よろしいので?」

「なにがだ」

「不安を納めるには、ダンジョン閉鎖も間違いではありますまい」

「ふん、くだらん」


 書類の中から、商業ギルドの書類を取り上げる。

 他の街と売買した物の詳細だ。交易の中心は塩、だが昨年よりも少ない。

 周辺の村から街に持ち込まれた農作物についても記載がある。これも昨年よりも少ない。街の門の通行料が減っているのを見ても、持ち込まれる量自体が減っていることは間違いない。


「今、ダンジョンを閉鎖しては、ダンジョンで取れる肉がなくなる、それでは食料が足りん」


 こいつだって分かっているはずだとの思いが、キツイ口調に出る。


「不安なぞ、兵士に魔物を狩らせればよかろう。そのための兵士だろう。それに……」


 書類を机の上に置く。不安など、領主が顔に出すものではないと、敢えて怒りの表情で取り繕う。


「文官に閉鎖を進言させたのはあの頑固者に決まっている。ダンジョンしか見ていない老害の意見など、聞くに値しない」

「……然様(さよう)ですか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ