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なんなんだ、なんなんだ、どういうことなんだ。
夜、見張りに立っていた奴が倒れた。
俺と一緒に見張りをしていた奴だ。
野営の場所では夜通し火を炊いて、見張りをする。見張りの当番でない奴はテントの中だ。
夜であっても骸骨共には関係ない。数人で見張りをしながら、骸骨がやってきた時には戦う。数が二体以上の時には、音を鳴らして皆を起こす。
それだけのことだ。
それだけのことのはずが、突然、隣で見張りをしていた奴が倒れた。
音を聞きつけて、別の場所で見張りをしていた奴らが集まってくる。
それぞれが手に持つ松明で、この場所が明るくなる。
そこで見たんだ。
倒れた奴の口から、白い靄のようなものが出て。
人の顔になった。
その後は良く覚えていない。
叫んだような気もする。
誰かが倒れたような気もする。
走ったような気もする。
骸骨退治だと聞いていた。
隊長のおっさんは、骸骨退治だと言っていたんだ。
ダンジョンに入るのは嫌だったけど、大きな口の魔物が居た川には行かないということだった。
確かに、方向は違った。
兵士達と初めてダンジョンに入った時に行った方向。
なのにあれはなんなんだ。
多分、走って逃げたんだろう。
だってここには誰も居ない。
手に持っていたはずの松明もない。
真っ暗だ。
ここは、どこだ。




