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 やっとの思いで拠点まで帰り着き、座り込む。

 疲労感から動きたくない。食事は、朝に多めに用意しておいた肉を食べる。冷めてしまった肉は固い。火で炙って温めれば食べやすくはなるんだろうけど、今から火を起こす元気はない。


 今日の脇道の探索は無駄に終わった。

 何時間も掛けて辿り着いた先は崖の上。

 落とし穴のようにぽっかりと唐突に途切れた道は、真っ暗な空間だけが目に入る。

 坂でもなんでもない切り落とされた道。

 迂回路なんてものはなく、ただぽっかりと開いた絶壁は、上なら覗き込むのも恐ろしい。

 そして、少しだけゴウゴウと音が聞こえる。もしかしたら、崖の下は川になってるのかもしれない。


 そんなわけで、朝からずっと歩いた結果は無駄に終わった。

 魔物が出たわけじゃないし、怪我もしていないけど、無駄だったという結果だけでとても疲れる。

 地図があればこんな苦労しなくても良いのに。

 ここにはネットどころか紙の地図さえない。多分。街の中は市場とか屋台とか、結構歩き回ったけど、本が売ってるのを見た記憶もないし。

 まさか紙が存在しないということはないと思うけど。

 街は壁に囲まれていて、人も結構居る。紙が使われ出したのっていつからだろう。植物紙、羊皮紙、パピルス。年代は覚えていないけど、これだけ人が集まって生活してるのに、紙がないとも思えない。


 ダラダラと考えながら、冷めた固い肉を飲み込む。

 この肉も、久々に食べた時は美味しく感じた。でも今は、味がちょっと不満だ。焼肉のたれとか、ないかな。屋台のは全部薄味で、焼肉のたれっぽいのを見た記憶はない。

 ないんだろうか。

 焼肉のたれ。

 紙と焼肉のたれ。

 これだけ人がいるんんだから、何かありそうだけど。宿では食事の準備を何日も手伝ったけど、味付けは塩だけだったな。

 ないんだろうか。

 それは少し、さみしい。


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