120
腕が痛い。切り落としたら痛くなくなるんじゃないかと考えるくらい、痛い。
筋肉痛だ。
重いのを我慢して、なんとか寝床まで帰ってきた。
街で買った小麦に少しの果物、それだけなら問題はなかった。問題は帰ってくる途中に出会ったウリボアだった。
目に着いたら襲い掛かってくるウリボア。突進しかしてこない魔物は、逃げるのは難しい。無理矢理に逃げるなら、ダンジョンの中の段差を利用して逃げることになるだろう。平地で逃げるには、ウリボアの突進は速い。
倒せればまた肉が食べれるようになる。そう思ってがんばって倒したけど、その重さは考えていなかった。
泣きそうな思いをして肉と皮を運んで、疲れ果てて寝た。
眼が覚めた時には、腕が痛くて動かなかった。
泥炭はほとんど残ってない。
いつも乾かしている場所から漁るようにして集めた泥炭に火を付ける。
本当は今日は泥炭を拾ってこないといけないんだろう。でも無理だ。食事の準備だけで腕が取れそうなくらい痛い。これで泥炭を集めたり、運んだりなんて出来っこない。
荷車のような文明的な道具があればいいのに。
ここには荷車どころか車輪も木の板もない。いや、荷車まで大きくなくても、車輪がついた鞄とかでもいい。旅行に行く人なんかがゴロゴロと引きずっているやつ。
小さいものなら作れないだろうか。無理か。材料をなんとか街で手に入れたとして、木の板を丸く削って、小さな車輪は出来るかも。でも、回るんだよな、固定したら回らないよな。どういう構造なんだっけ。
腕が痛すぎて考えが進まない。もう、今日は食事が終わったら寝てしまおうか。
ああ、ダメだ。水を汲んで来ないと、飲み水がもう残ってない。




