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 金属鎧を着た大男が、その体に匹敵するような大きな荷物を担いで歩く。

 ガチャガチャと響く音は金属鎧のものなのか、それとも担いだ荷物の音なのか。

 この街で金属の鎧を着る者は少ない。大抵は、ダンジョンで獲った皮を加工した革鎧を着ている。そして、それすらなく、ただの服でダンジョンに入る者も多い。

 彼らは冒険者だ。大男の後ろには、革鎧を着た男性が一人と、革のローブ姿の女性が一人。その二人も自身に匹敵するような大きな荷物を担いでいる。

 三人がパーティーを組んでから随分と経つ。ベテランと言っても良いくらいだ。


「よお、今日はいつもに増して大荷物だな」


 屋台の準備をしながら店主は冒険者に声を掛ける。

 早朝の、まだ屋台が始まるよりも前の時間にダンジョンに入る者は少ない。屋台通りも閑散としていて、まだ開いている店は一軒も見当たらない。


「ああ、今回はちょっと長居するつもりでね」


 革鎧の男が気楽な調子で答えながら通り過ぎる。

 冒険者のほとんどは街に居る時には料理なんてしない。屋台で食べることがほとんどだ。

 店主の屋台で食べて行ったことも少なくない。その時の会話で、彼ら三人がダンジョンの未踏破部分を目指しているのは、店主も知っている。


「呪いが怖くないのかね、大したもんだ」


 通り過ぎる冒険者を見送ってから、小声で呟く。

 少し前にはダンジョンが封鎖されたり、呪いの元だとか言う魔物が晒されたりしていたが、呪いは一向に減る気配がない。


「本当にダンジョンに入っても大丈夫なんだろうな」

「封鎖が心配?」

「そんときは俺がぶっとばしてやるよ」

「いや、兵士相手にそれはヤバいだろ。それより呪いだよ」

「大丈夫よ。少なくとも、街に居るよりは安全だわ」


 早朝の街は、それぞれが家の中で動き始めてはいるものの、外の通りはまだ静かなままだ。その静寂をガチャガチャという音で掻き乱しながら、三人の冒険者はダンジョンへと進んで行った。


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