表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/187

117

 重い。間が悪い。腕が痛い。疲れた。


 ダンジョンを足早に進んでいたら、ウリボアに出会った。

 相も変わらず突進ばかりしてくるウリボアと戦った。

 麦を買って戻る途中では、荷物が重くて逃げれないし、戦う以外にはなかった。荷物がなくてもウリボアのほうが速いけど。

 突進を躱しながらこん棒で殴るのは難しい。野球のバットのように振ろうとすると足が止まる。躱し切ってから振りかぶっては間に合わない。だからこん棒を逆手に持って、ウリボアの顔を横から突くようにして攻撃した。

 小突く程度の攻撃になってしまって、倒すのは無理かとも思った。

 でも何度目かの攻撃で、ウリボアが転んでくれたお陰で勝てた。

 どうも転んだ時に足を痛めたらしく、突進の速度がすごく遅くなったのだ。


 ウリボアはその場で解体して、肉と皮に分けた。残りの骨とか内臓は捨てていく。そんなに持てないし、使い道が分からない。

 皮と肉だけでもかなりの重さで、一人で運ぶのはキツい。

 でもここに残して置いて、誰かに持って行かれてるのも嫌で、なんとか持ち上げた。

 小麦を買って帰る途中じゃなかったら、もう少し楽だったのに。

 そもそも、小麦を買いに行くよりも前に見つけていたら、街に入らずに済んだのに。

 間が悪い。

 背負い袋を担いで、肉は皮に包んで手に抱える。

 寝床は遠い。

 まだ半日以上はかかると思う。

 腕が痛いし、息も切れる。

 こんな状態でまたウリボアにでも出会ったら勝てないから、ダンジョンの中をこそこそと隅のほうを歩く。疲れる。

 何度も捨てて帰ろうかと悩みながら歩く。

 休憩して、息を整えて、歩く。

 休憩して、腕の筋肉を解して、歩く。

 休憩して、水を飲んでから、歩く。

 捨てて帰れればいいのに、と思いながら歩く。

 おじさん達との狩りで泊まった水場は過ぎた。人が来ないならここに置いて、後で取りに来ようかとも思う。

 でも兵士が通っていった道だから、誰が通るかも分からないと、肉を抱え直して歩く。


 歩く、歩く、歩く。

 重い。間が悪い。腕が痛い。疲れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ