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 足早にダンジョンの中を進む。おじさん達との狩りで使っていた水場までは遠い。今日中に辿り着けるのか、難しい。だから足早に進む。

 歩きながらマスクを外して背負い袋に入れる。

 街での買い物は上手くいった。

 革加工ギルドでは皮が売れたし、端材ももらえた。思いつきで話してみたけど、おじさん達と一緒に出入りしていたのを覚えてくれていたみたいだ。もらった革はマスク代わりの布の間に挟んだ。空気の通り道が減った感じがして、少しだけ安心出来た。


 小麦も果物も買った。野菜はちょっとお金が心配になって止めた。それに売り場の通りもなんだか人が少なくて、長く居たくなかったのもある。

 通りのお店も、開いてないお店があって少し静かな気がする。

 ダンジョンに入る前に買い物に来た時はもっと人が多くて、騒がしかったはずだ。


 段差を乗り越えて、ダンジョンの奥へと進む。

 数日置きに十人くらいで往復していても、ただ通るだけで道を整備したわけでもない。階段というには少し高い段差がいたるところにある。

 荷物を持って一日中歩くと、この段差が結構辛い。後で足にくる。


 革加工ギルドでも、屋台の買い物でも、マスク姿は変に見えるみたいだった。

 何人にも聞かれて医者のマスクと同じだと答えた。そうしたらなぜか呪い除けか、なんて言われたけど、こっちでは病気のことを呪いと言うんだろうか。それとも伝染病だと思ってるのは自分だけで、あれは呪いなんだろうか。


 ダンジョンの中は静かだ。街の中では他の冒険者の姿も見なかった。それなのにダンジョンの中に入ってるわけでもないらしい。

 街に戻る時も、今も、通っているのはおじさん達と狩りをしていた時のルートだ。みんながダンジョンの中に入っているなら街への往復で会わないのは変だし、ダンジョンの中に居ないのなら、買い出しの途中で会いそうなものだ。

 たまたま会ってないだけ、かもしれない。長屋まで行けば分かるんだろうけど、街には長く居たくない。それに長屋まで往復してたら買い物が終わる頃には日が落ちてたはずだ。宿に泊まるようなお金もない。

 真っ暗になってしまうと、段差が多いこの道は歩き難い。出来るだけ進んで、暗くなった所で隅のほうで休もう。食事は果物があるから、火を起こす必要もないし、水はもう少し残ってる。明日のうちに寝床まで帰れるだろうか。


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