107
無理だ。あれは無理。
倒せるか、倒せないかで言ったら、倒せる。けど、すごく大変で、一体を倒しても少し歩くとまた出て来る。
あの道を奥まで行くのなんて無理だ。
あの骸骨、骨しかないように見えてすごく固い。いや、骨が固いのは分かるけど、頭をこん棒で殴っても、頭が外れるわけじゃないんだ。肉も皮もないくせに、頭が載ってるのは小さく重なった首の骨のくせに、頭をこん棒で殴っても、少し傾くくらいで頭が取れるわけじゃない。
伸ばしてくる手を払いながら、体中の骨を何十回も叩いて倒さないといけない。
筋肉がないから繋がってないはずの骨同士は、思いっきり殴っても外れないのに、骨自体は折れる。腕の骨を折れば、そこから先の手は地面に落ちる。
だから、骨が折れるまで何十回も叩く。体中がバラバラになるまで骨を折れば、一応、倒したことになる。手の先で指だけ動いていたりするけど、それはもう、どうでもいい。歩いて襲って来ないから。
それだけ大変な思いをして倒しても、何か手に入るわけじゃない。
三体の骸骨をなんとか倒したけど、そこで時間切れ。骸骨が現れるような所で眠れるわけはなく、あとどのくらい進めばいいのかも分からず、元の寝床に戻って来た。
麦はまだ残ってるから、食べるものはある。でも骸骨の相手をしてて泥炭を補充してないから、いつ燃料がなくなるのか、それが怖い。
今日、倒した分だけ、明日は戦わずに奥にいけたとして、後、何日必要なのか。そもそも奥には、ここと同じくらい安全な寝床があるのか。
くたくたに疲れて横になりながら、改めて考える。
暗い脇道を進む以外に方法はないのかと。
兵士が通り過ぎて行ったから、ここにも人が来ると分かったから、もっと奥に行こうとした。病気が怖いから人には会いたくない。
でもあの道の先はどうなってるのか分からないし、骸骨が出る。だから行きたくはない。
どうせ移動するのなら、明るい道で、水があったり、泥炭が取れたりするほうが良い。でもそっちは兵士が進んだ方だし、水の中にはウリボアを引きずり込んだ何かがいる。
どうしよう。




