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甲鉄戦士ウインメタル  作者: 東洋連合
第六章 二人の過去編
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第七十九話 悲しき真実

こんばんわ!

寒くなってきましたね!

寒さに負けず書きます!

「お前達に言わなければいけないことがある。」

病室で、田中は隼人とエリカに暗い表情でそう言った。

「何、話しておきたいことって?」

「私も気になります。」

隼人とエリカは首をかしげながらそう訊ねた。田中は表情を変えずに話し始める。

「俺が昔、国立工学研究所にいてラドミウム合金の開発を巡り、追い出された話を前にしたよな?」

「うん。」

「ええ、覚えております。」

田中はさらに続ける。

「その時俺は家族を失った。妻と娘をな。」

それを聞いた隼人とエリカは言葉を失ってしまった。田中は今まで二人に自分のことをあまり話してこなかったが、そんな悲劇的な過去があった事など知らなかったからである。

「これがその写真だ。」

田中は胸ポケットにしまっていた写真を取り出した。そこには田中と田中の妻である女性、そして娘である少女が映っていた。すると、ここで隼人があることに気付いた。

「何か、この女の子の顔、少しエリカに面影があるね。」

「そうだ。なにせエリカの顔を作る時、娘の成長した顔をイメージして作ったのだから。」

「そうだったのですか?」

これにはエリカも驚きを隠せなかった。田中はさらに続ける。

「それと、お前には人格移植AIが搭載されているが…。」

「はい。」

「それは私の妻の物だ。」

「そうだったの?!」

「知りませんでした。」

「仕方ないよな。生前のデータをもとに人格を形成したものの、記憶までは引き継がれないからな。」

意外な真実を知った二人だが、隼人がもう一つ疑問を投げかける。

「どうして今になって僕達に話してくれたの?」

そう聞かれた田中はさらに深刻な表情で答えた。

「今まで確証は持てなかったのだが、前のあいつの言葉で確信した。妻と娘はあいつに消された。」

「そんな…。」

「一体どうして?」

隼人もエリカも信じられないという表情で聞いた。田中は続ける。

「当時、ラドミウム合金は私と山崎がメインでやっていたが、私はその危険性に気づき開発の中止を求めた。だが、あいつは強引に推し進めようとした。結局上の者も私の説得に応じてくれて開発はとん挫。それが面白くなかったんだろうな。私はもともと貧しい家庭出身で大学も田舎の公立大学卒、あいつは父親が大手金属加工メーカーの社長で小学生から大学までずっとエスカレーターで一流校に通っていたエリートだったから、自分より格下の人間の意見が優先されたのが面白くなかったんだろう。その後、私の妻と娘は家にいる時に火災で亡くなり、放火の疑いも掛かっていたが結局火の不始末として処理されてしまった。だが、間違いなくあいつがやった。」

あまりにも理不尽かつ悲しすぎる真実だった。山崎が気に入らなかったという理由だけで、田中は家族を消されたのだった。だが、そんな田中に隼人とエリカは優しく声をかけた。

「田中さん、それを聞いたからには僕は一層ダークメタルと山崎を倒さなきゃいけないって思ったよ。」

「私も同感です。サポートアンドロイドとして全力で協力いたします。」

「二人とも、ありがとう。」

田中は協力してくれる二人の頼もしい仲間に礼を述べた。そして、隼人はもう一つ疑問を投げかけた。

「そうだ、聞きたいことがあった。」

「何だ?」

「ダークメタルは、山崎に記憶と遺伝子を抽出して貰ったとか言っていたけど、一体どういうことなんだろう?」

隼人は前回川越駅でダークメタルが言っていたことに引っかかっていた。ダークメタルの言葉を借りるならば、山崎は武史の生前の記憶を残したままクローンを作ったことになる。

「それは、ゲノムドライブだ。」

「ゲノムドライブ?」

「それはどのようなものでしょう?」

初めて聞く単語に二人は首をかしげた。田中は続ける。

「奴が言っていた通り、脳細胞から遺伝子を取り出して人格だけでなく記憶まで引き継がせる一種のDNAコンピューターだ。これも私が国立工学研究所にいた時に開発が検討されていた物だが、死人を生き返らせるだけでなくシステムを破壊しない限り永遠に生き続ける不死身の存在を作り上げてしまうとの事で危険と判断され、開発は中止された。」

「どうしてそんなものが?」

「おそらく、山崎はそれもこっそり盗みだした。そして、里美の汚職が原因で自殺した武史の脳細胞を使ってダークメタルを作り上げたってとこだな。」

「なるほど、気に入らないものを排除するために人の命を弄ぶとは許せないな。」

隼人は言葉に棘を含めてそう言った。そして、田中は二人に提案をしたのだった。

「奴に勝つためには今までではダメだ。だから、隠し玉を使う!」

「案があるんだね!」

「私も全面的に協力します!」

その言葉を聞いた田中は少し微笑みながら隼人とエリカに力強く言った。

「ああ。これには二人の力が必要不可欠だからな。骨が折れるかもしれないが頑張ろう。」

かつて経験した辛い過去を二人に話した田中。だが、今はそれを撥ね退けて平和を守るために、頼れる仲間と共に前へ進もうとしている。

こんばんわ!

田中の過去が明らかになりました。

そして隠し玉とは一体?

次回もお楽しみに!

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