第四十八話 嘉手納
こんばんわ!
捕まったベリーことべリンダ。
そして、ウインメタル達はどう動くか?
逮捕したチェリー&ベリーのべリンダ・ローの取り調べを終えて、ウインメタルは早速田中へと連絡した。
「もしもし田中さん?」
「おう、ウインメタルか。テレビを見たぞ!片方は逮捕できたみたいだな。」
「はい。しかし残念ながらチェリーの方は逃がしてしまいました。」
「まあ、仕方ない。相手もプロだからそう上手くはいかないさ。」
田中はそう言ってウインメタルを慰めた。ウインメタルはそのまま報告を続ける。
「取り調べを行った結果。いくつかの情報を得ました。」
「聞かせてくれ。」
「はい。チェリー&ベリーは姉妹であること。姉の方は分かりませんが妹の方の名前はベリンダ・ローであること。嘉手納から来てアメリカにすんだこともあること。基地を襲撃した理由は金よりも軍や自衛隊を苦しめたかったとの事。以上ですね。後はいろいろ聞いてみたんですけど黙秘されてしまいました。」
ウインメタルはそう報告した。それを聞いた田中は少し黙って考えた後、口を開いた。
「うーん、そうだな。名前の割に嘉手納から来たっていうのが引っかかるな。それに、向こうにも基地はあるのになぜ最初にそこを襲わなかったのかも気になる。」
そう言われると、ウインメタルや一緒にいたエリカとアンダーソンも引っかかる部分があった。なぜわざわざ沖縄から遠く離れた関東の基地を最初に襲撃したのかが気になった。
「とりあえず、僕が嘉手納に行って少し調べてきてもいいですか?」
ウインメタルは田中にそう聞いた。そして、田中は少し悩んだ後に言う。
「うーん…いいだろう。くれぐれも気をつけてな!」
「はい。」
そう言ってウインメタルは通信を切った。
「じゃあ、とりあえず行ってくるからここは任せてもいいかな。」
「はい、ウインメタル!有力な情報を期待します!」
「もし何か分かったら私にも連絡をくれ。軍がらみの情報なら提供できるかもしれん。」
エリカとアンダーソンはそう言って快くウインメタルを見送った。ウインメタルはメタルウイングを展開し、沖縄の嘉手納へと飛び去って行ったのだ。
「ふう、着いた。」
ウインメタルは無事に沖縄県の嘉手納町に到着した。街の総面積のおよそ八割を嘉手納基地が占めている典型的な基地の町であるこの地域は、住んでいる人々も基地関係者や基地の人相手の商売人が多い。早速ウインメタルは周囲に聞き込み捜査をした。
「あの、すみません。」
「何でしょう?」
「この人に見覚えないですか?」
「いやぁ、知らないな。」
ウインメタルが見せた写真は先ほどの取り調べ前に撮影したベリンダ・ローの顔写真だった。嘉手納から来たということはもしかしたらここがルーツかもしれないと思い、調査することに決めた。片っぱしから聞き込みを続けるが、なかなか有力な情報を得られない。
「ふう、狭い町だから誰かに聞けば知っていると思ったけどそんなに甘くはないか。」
ウインメタルは街を歩きながらそう呟いた。そして、ある古びた雑貨屋が目にとまった。
「誰かいるのかな?ちょっと聞いてみよう。」
ウインメタルは戸をあけて中に入る。すると、この店の店主であろう老夫婦が出迎えてくれた。
「いらっしゃい。」
「突然失礼します。この方ご存じありませんか?」
早速写真を老夫婦に見せるウインメタル。すると…。
「あれ…?この子…。」
「分かりますか?」
「ああ、確か10年くらい前によく似た子がこの近くに住んでおったよ。」
「それは本当ですか?」
「ええ。時々家にお母さんが買い物に来たけど突然来なくなってしまってねぇ。」
「そうですか。因みに、そのお母さんは子供が二人いましたか?」
「良く知っておるな。そうじゃ。この子と後もう一人おったな。お父さんはどういう人かよく知らんけどあの顔から多分アメリカンじゃろう。」
その発言にウインメタルは少しピンと来た。嘉手納出身で東洋人とも白人とも見れる顔立ちなら、米軍基地に勤務するアメリカ人と地元の日本人との間に生まれた子供と考えれば説明がつく。
「その、お母さんの名前は分かりますか?」
「えーっと確か…。」
「妙子。波照間妙子さんという名前じゃったような。」
「分かりました。ありがとうございます。」
ウインメタルはその後老夫婦からかつて波照間妙子が住んでいたとされるアパートの場所を聞き、店を去って行った。
こんばんわ。
嘉手納に着き、少しですがウインメタルはヒントを得ました。
次回、波照間妙子のアパートへ行ったウインメタルを待ち受けていたものとは…?
お楽しみに!




