第二話 VS怪現象
明けましておめでとうございます!
お待ちかねの第二話投稿します!
「やはり、このAIは既存のアンドロイドよりも格段に優れています。」
「やはり、しかしどこの誰がこんな高性能な物を開発したんだ…?」
ここは郊外の山中にある研究所。そう、田中三郎の研究所だ。田中達は先日のバスジャック事件で、乗客を襲撃したアンドロイドの解析をしていた。実は隼人は現場から立ち去る際、破壊したアンドロイドの残骸を研究所まで持って帰ってきていたのだ。
「おそらく、感情素子をプログラムして人間そっくりに行動するタイプだと思われます。人格移植型のAIかと…」
「なるほど。てことは殺人鬼かテロリストの人格をコピー、プログラムしたのか。」
田中がそう予測する。実際、隼人がカメラアイで記録していた映像を見る限り、誰かの人格を移植しなければできないような行動も多々見受けられた。例えば、人間をすぐに殺さずに負傷させ、人質に取る行動。もしただの殺人マシーンなら、即座に殺してその場から立ち去るだろう。これは完全にテロリストと同様の行動パターンだ。
「ねぇ、この間の事件まだテレビでやってるよ。」
田中たちの後ろで、無表情の少年、白金隼人=ウインメタルが言った。研究所内のテレビには先日の事件に関するニュースが放送されている。
『先日発生した武装集団によるバスジャック事件に関して、新たな情報が入りました。犯人は全員アンドロイドで、それを銀色の鎧を着た何者かが殲滅したとのことです。』
各メディアは事件の詳細を少しずつではあるが、確実に掴んできているように見えた。そして、乗客乗員へのインタビューでは…
『もう、あっという間でした!あの三人じゃ歯が立たない位圧倒的な強さでした。』
『いやぁ、助かりましたねぇ。ちょっと乱暴な風にも見えましたが、誰も死なせずに助けてくれたんですから。』
「だってさ、良かったね。田中さん!」
「いやいや、実際にやったのは君だし、君がウインメタルになってくれたからだよ。ありがとう、隼人!」
乗客のインタビューをまるで他人事のように見ている隼人と、活躍を褒める田中。しかし…
『警察は銀色の鎧の人物に対し、もし民間人が正義の味方気取りでやっているのだとしたら、極めて危険つ遺憾である。次回同じことがあるならば全力で止めたいと述べており、彼の活躍は賛否両論となっております。』
「警察って公務員だからか頭硬いよね。」
隼人は顔には出さなかったが、警察側の発表に対し、どこか腑に落ちない部分があった。
「僕は警察に捕まるの?」
「気にするな!君は何も間違ったことをしていない。この前と同じように、事件が起きたら戦えば大丈夫だ。」
「分かった。そろそろ学校行く時間だからもう行くね。」
隼人はそう言って、荷物をまとめて研究所を後にした。
ここは隼人が通う大学。彼はここで普段通り静かに授業を受けていた。特に何の変哲も無く、黙々と授業をすすめる先生。大体毎日こんな感じなので、隼人の一日はいつも静かに過ぎていく。
(高性能なAIか。田中さん以外にもすごい発明をする人いるんだな。)
隼人はそんなことを考えていた。実際発明や開発という世界とは無縁な生活を送ってきた隼人にとって、ウインメタルのメタリックアーマーは別次元のものに見えた。口に出したことは一度もないが、隼人は田中のことをすごいと思っている。そんな時、後ろの席に座っていた男女の話しが聞こえてきた。
「なぁ、この噂聞いたか?」
「何?」
「何か最近、夜中にこの階の大教室から物音が聞こえるらしいぜ。」
「嘘でしょ?」
「いや、ホントみたいよ。俺の友達も遅くまで残ってたときに聞いたって言ってたし。」
「そういえば、私の友達もあそこで白い影みたいな物を見たとか言ってたような…」
「だろ、絶対何かあるぜ、あそこ!」
そんな感じの会話だった。
(謎の現象か…)
隼人はそう心で呟いた。実際、隼人自身もその噂を話している学生を二、三回見たことがある。
(調べてみるか…)
怪現象に何か引っかかる部分を感じた隼人は、原因を究明することを決めたのだった。
「そういうわけだから、調べてもいい?」
『別に構わないが…』
授業が終わり、隼人は田中に学校の怪現象に関する報告をしていた。
『それにしても珍しいな。隼人、ホラーとかオカルトとか興味ないと思ってたから。』
「興味はないよ。ただ鬱陶しかったから調べようと思っただけ。ウインメタルで調査するよ。」
『そうか。気をつけてな。』
「やばかったら殺しちゃっていいよね。」
『正体が人間じゃなければな。くれぐれも変な騒ぎを起こしたり関係ない人間を巻き込むな。それこそ警察沙汰になるぞ。』
「了解。」
隼人は通信を切り、全ての授業を終えたあとも学校に残り続けたのだった。
その夜…
「ここで間違い無いはずだが、何も起きてない。」
生徒や教職員が全員帰った後も学校に居座り続けている隼人は、例の大教室の中にいた。鍵は閉まっていたが、ウインメタルに変身していたので、鍵を解析し、念力で解錠して中に入ることが出来た。彼は学校から人気が消えたあと、ウインメタルに変身し、ハイパーサーチで学校中を解析していた。数時間調査して特に異常などはないと思っていたが、午前1時を回ったところで、あの大教室からエネルギー反応を補足、調査すべく現場に向かった。
「それにしても、このエネルギー何なんだろう?」
エネルギーを解析したとこほど、【UNKNOWN】つまり不明物との結果が出た。ウインメタルは教室内を暫く歩いて調査しているが、大した大きさでは無いものの、まだエネルギーを観測している。
「この程度のエネルギーじゃ、殲滅しようにも方法に困る。せめてもう少し強まってくれたらなぁ。」
そうつぶやいたその時だった。エネルギーが急に上昇し始めたのだ。そのエネルギーは教室の端っこの方に集中したが、その後すぐに消えてしまった。
「何だろう?せっかく詳しく解析するチャンスだったのに…」
少しがっかりしたウインメタルだった。しかしその直後、彼が見ている画面に、後ろ側に異常事態を知らせる表示が出た。
「敵襲か?」
ウインメタルが後ろを振り返る。すると、赤い服を着た髪の長い女性が立っていた。
「誰?いつからいたの?」
そう聞いたが女性は答えない。しかし…
「…ッテヤル」
「ん?」
「呪ッテヤル!貴様ラ全員呪ッテヤル!」
女性はそう言いながら顔を上げた。その女性は異常に白い肌をしており、顔の左半分が崩れており、眼球も無くなっていた。
「どうやらマトモな人間じゃないみたいだね。ハイパーサーチ!」
ウインメタルのバイザーが開き、解析を始める。その結果、【GHOST】と表示された。
「実体は無い…幽霊のようだね。」
相変わらず冷静にあしらうウインメタルだったが、その女性の霊はものすごい形相でウインメタルに襲いかかる。首を掴まれたが、ウインメタルは落ち着いて霊の両手を首から引き離し、思い切り蹴り飛ばした。すると女性の霊は壁にぶつかった直後に消えてしまった。
「倒したのか?」
そう思って動き出そうとしたウインメタルだったが、直後に動きが止まる。足元を見てみると、いつの間にか女性の霊が移動しており、ウインメタルの両足を掴んでいた。
「うぅ…あぁァァ…」
言葉にならない唸り声を上げながら、ウインメタルを片目で睨みつける女性の霊。
「邪魔!」
そう言ってウインメタルは足で霊を振り払い、後ろに移動する。
「実体のないものをどうやって倒そうか?」
隼人がアーマーに問いかける。アーマーの解析システムは暫く調査したあと、ある結論を映し出したのだ。
「そんな方法あるんだ。じゃあそうしよう。」
ウインメタルは右手に力を込め、マキシムダガーを展開させた。すると…
「アァアァアァ!」
女性の霊が唸り声を上げて再びウインメタルに襲いかかる。
「一回死んだところ悪いけど、もう一回死んでもらうよ。」
そう言いながらウインメタルはマキシムダガーヲ構える。するとその直後にマキシムダガーの刃の部分が光り出した。
「初めて使う技だから、実験台になってもらうよ。エナジーバスター!」
光った刃は幽霊を脳天から切り裂いていた。
「ギャァァァ!」
その幽霊は断末魔を上げて消えてしまった。
「意外と強いね。使えるかも。」
ウインメタルは初めて使った技の有用性に感心していた。エナジーバスターはマキシムダガーの刃を媒体とし、触れたものを量子の内側から破壊する技である。よって、一種のエネルギー体である幽霊は完全に分解、消滅してしまったのだ。ただし、その分武器のエネルギー消費が激しく、何度も使うことが出来ないのが欠点である。
「取り敢えず、倒したからもう帰ろう。」
エネルギーが完全に消えたのを確認したウインメタルはそのまま教室を後にし、外に出て目にも止まらぬ速さで大学から走り去ったのだった。
お待たせしました!
ウインメタルも第二話目です!
最近正月ボケなので、上手くかけているが不安ですが、もし変なところを見つけたら、ご指摘いただけるとありがたく思います。
それではまた次回お会いしましょう!




