第十八話 暗闇での血戦
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住宅地での巨大コウモリとの戦闘が終わって間もなく、アンドレイ達に緊急連絡が入った。それは、市内の下水道で水道局職員が謎の巨大生物に襲撃されたとの事だった。
「みんな急げ!敵に逃げられる前に!」
アンドレイがウインメタルを含む全捜査員たちに無線で指示を出す。みんな巨大コウモリをあっさり倒したウインメタルが現れたことにより、黒幕は何かしら仕掛けてくると思ったが、まさか地下から攻めてくるとは少し予想外だった。
「下水道から攻めてくるなんて、随分ナメたマネしてきたね。コウモリの次は巨大ドブネズミかな?」
「それはわからん。だが、巨大な何かに襲われたのは事実みたいだな。」
ウインメタルに対し、アンドレイはそう答える。なにせ本当に緊急だったので、彼らは情報を何一つ掴んでいなかった。
「よし、着いた!みんな急げ!」
現場に到着し、アンドレイは車から降りながらウインメタル達と事件発生場所へ駆け出す。そこには、青ざめた表情で震えている数人の水道局員が先に来ていた別の警察官たちに事情聴取を受けていた。
「私だ。それとこっちはウインメタル。一体何があったのですか?」
アンドレイが水道局員を保護していた警察官に聞く。すると、その水道局員が警官よりも先に怯えたような声で話し始めた。
「私たちは…、その。下水管の定期点検をしていたのですが…。いきなり水面から不自然な音がしたのです。最初は気のせいだと思って見過ごしていました。そしたら…いきなり水しぶきが上がって、私の同僚が黒い何かにそのまま引きずり込まれてしまいました。刑事さん。お願いします!あいつが何なのか確かめて下さい!」
必死の形相でアンドレイに縋り付く水道局員。するとアンドレイはウインメタルの方を向いて言った。
「ご安心を。彼なら解決できるでしょう。そうだろ、ウインメタル?」
「勿論だよ。平和を乱すものは僕が許さない。相手が誰だろうとすぐに消し去ってみせるよ。それより、襲われた場所はどこなの?」
ウインメタルは水道局員に案内され、はじめに入ったと言うマンホールまで来た。
「ここか。じゃあ行ってくる。」
「待て、ウインメタル。いくら君でも、敵の正体が分からんのにいきなり入るなんて危険だよ。」
マンホールに入ろうとしたのを静止したのはニコライだ。
「古代中国の言葉に虎穴に入らずんば虎児を得ずって言うのがあるのは知ってる?誰かが行かない限り何も進歩が無いよ。」
「し、しかし…。」
「僕なら大丈夫。すぐにやっつけて戻ってくるから。」
ウインメタルはニコライを説得し、マンホールの中に入った。
「暗いな。暗視モニターに切り替えよう。」
ウインメタルはモニターを通常モードから暗闇でもはっきり見える暗視モードに切り替えた。そこでウインメタルが見たものとは、壁に飛び散った血痕と、何かが這いずり回ったような跡だった。
「この足跡。随分多いな。コウモリでもなければドブネズミでもなさそうだな。もっと足が多い何かか。」
下水が流れる横にある通路には巨大生物の足跡らしきものがあった。しかし、それは今までに見たものとは似つかない、細く、無数の物だった。強いて言うならムカデに近いとも言えた。
「敵は水中か?でも濁っててここからじゃ分からないな。よし、ハイパーサーチだ。」
ウインメタルはハイパーサーチを使いながら敵を探すべく歩き始めた。初めは何も反応しなかったが…。
「生物反応?こいつか?」
200m程歩いた所で、水中に生物反応が確認された。しかし、眠っているのかその場から動いてはいない。
「そっちから来ないならこっちから行くよ。」
ウインメタルはそのまま下水の中に飛び込んで正体を確かめることにした。しかし、海や川などと違い、下水はとても濁っており、視界はほぼゼロに近い。
「全く、こんなところで過ごすなんてどうゆうやつなんだ?とりあえず。透過モニターに切り替えよう。反応はここからだったが。」
ウインメタルは透過モニターに切り替えて、反応が買った場所まで潜る。すると、そこには人間の大人より少し大きめの楕円形のものが見えてきた。
「随分硬そうだな。こいつに間違いないが正体を確かめるために牽制してみよう。」
ウインメタルはその丸く硬そうな物体に近づき、メタリックガンを構える。通常、拳銃は水中で使うことはできないが、メタリックガンには関係ない。ウインメタルはレーザーモードにして至近距離から光線を放つ。
「キィィィィィィ!」
さっきまで眠っていたのか、その場から動かなかった謎の丸い物体はレーザーを受けるなり耳を裂くような高い声を上げた。
「やはり貴様か!会って早々悪いけど、死んでもらうよ!」
ウインメタルに気づいたその物体は体の向きを変えて向かってきた。丸い物体はその生物の背中で、腹側には無数の脚、そして後ろにはムチのような不気味で長い尻尾が生えていた。
「カブトガニ。いや、カブトエビかな?どっちにしても、僕が倒しちゃうから覚悟しろ。」
ウインメタルはその巨大なカブトエビに似た生物に対して再びメタリックガンを構え、レーザーを放つ。しかし、すっかり目を覚ましていた巨大生物は、簡単に攻撃を躱した。
「2度も通じないか。これならどうだ!」
ウインメタルは突進してきたカブトエビを躱し、背中側に回り込むと、メタリックビュートを展開。そのまま丸い背中に鉤爪を発射したが…。
「クッ!弾かれたか。」
巨大カブトエビの背中の甲羅は予想以上に固く、メタリックビュートの攻撃に対して傷一つつかなかった。更に、攻撃を受けて刺激された巨大カブトエビは、更にスピードを上げ、ウインメタルに突っ込んでくる。ウインメタルも何とか躱そうとしたが…。
「し、しまった!」
慣れない水中戦のせいで陸よりもスピードが落ちているウインメタルは躱しきれず、右腕を巨大カブトエビに噛みつかれてしまう。巨大カブトエビは更にウインメタルを底まで引きずり込むと、腕の装甲を鋭い顎で齧り始めた!
「ぐわぁぁッ!」
隼人の腕自体は無事だが、噛まれた時の衝撃は伝わってくるので、ウインメタルは激痛に耐えながら打開策を考えた。
「このままじゃ、餌にされちまう。何とか脱出しなければ…。」
考えている間にも、巨大カブトエビの攻撃は止むことなく、噛まれ続けてダメージを受けた右腕装甲への警報が鳴る。そして、ウインメタルが考えた方法とは…。
「メタルウイング!」
水中でメタルウイングを展開して、そのまま推進力を使って上昇する。ウインメタルは右腕を噛まれたまま水面上に浮き上がり、空中から巨大カブトエビを下水道の壁に思い切り叩きつけた。巨大カブトエビは叩きつけられた衝撃に驚き、口を離してしまった。
「所詮君は水中生物。陸戦なら僕の方が圧倒的有利だね。」
ウインメタルは宙に浮いた状態で巨大カブトエビに言い放つ。しかし、巨大カブトエビは予想に反し、陸に引き上げられても目にも止まらぬ速さで壁を駆け上り、襲い掛かってきた。
「陸でも動けたか…。しかし!」
ウインメタルは巨大カブトエビの方に体を向ける。巨大カブトエビは再びウインメタルを攻撃しようと無数の足と鋭い顎で天井から飛び掛かってきた。
「待ってたよ!この時を!」
ウインメタルは再び巨大カブトエビの腹側に向けてメタリックガンを構える。
「ファイヤーモード!」
ウインメタルがそう言うと、メタリックガンからものすごい勢いで灼熱の炎が放たれた。ウインメタルはハイパーサーチにより、硬い甲羅の下が弱点であることを見抜いており、腹側を向けて自身に襲い掛かってくるのを待っていたのだ。弱点である甲羅の下を焼かれた巨大カブトエビはそのまま息絶え、水中に落ちた後に浮かび上がってそのまま動かなくなった。
「環境が悪い上に随分手を焼かせられたな。とりあえず、帰還しよう。」
ウインメタルはメタリックビュートで巨大カブトエビの死体をつかむと、そのまま飛びながら死体引きずって出口へと向かったのだった。
こんにちわ!
疲れました。
本当に疲れました。
寝ても寝足りない状態なので、どうやって休めばいいか模索中です。
それと、先週は更新をサボってごめんなさい!
次回からはサボらずしっかり書きます!




