第百十話 乗り込め!
こんにちわ!
平成最後の投稿です!
宜しくお願いします!
幽霊屋敷を取り扱っているしなの不動産上田営業所を訪れた隼人とエリカは、事情を説明して何とか物件の中の見学を取り付ける事が出来た。そして、店を後にした二人は見学までまだ時間があったので、二手に分かれて事情聴取を行うことにした。隼人はウインメタルに変身し、小諸駅近くにある住宅地を訪れた。
「確か、この辺のはず…。あった、ここだ!」
ウインメタルはある民家の前に立ち止まり、インターホンを押した。
「はーい、どちら様ですか?」
ドアを開けて出てきたのは20代半ばの女性だった。
「ウインメタルです。横川さんのお宅で間違いないですか。」
「そうですが。」
「御主人は御在宅ですか?」
「いえ、主人は今仕事でして。」
それを聞いたウインメタルは本題を切り出した。
「じゃあ、奥さんだけで大丈夫です。実はこの屋敷に関して聞きたい事がありまして。あなたはここに越してくる前にここにお住まいでしたよね。」
ウインメタルは屋敷の写真を見せながら女性に質問したが、女性の方は写真を見た瞬間一気に顔を強張らせた。そう、この女性こそ最後に屋敷に住んでいた横川夫妻の妻だったのだ。
「か、帰ってください!話す事なんてありません!」
「これ以上幽霊による被害を防ぐためにも、かつて住んでいたあなたの情報が必要なんです。ご協力をお願いします!」
「いい加減にしてください!あんなに怖かった日々なんて思い出したくもありません!」
「お気持ちは分かります!このままあの屋敷を放っておけば何が起こるか分かりません。ですからそう急に解決するためにも是非ご協力願いたいんです!」
ウインメタルは怒って追い返そうとする夫人を何とか説得して落ち着かせ、手短ではあるが何とか話してもらう事が出来た。
「なるほど、寝室で不自然な異音に青い服をきた女の幽霊が出たんですね。」
「他にもお坊さんの幽霊が出てきて窓ガラスを割ったり、天井から大量の手が出てきたりして本当に怖かったんですから!」
「分かりました。ご協力ありがとうございました。」
ウインメタルは横川夫人に謝辞を述べ、その場から立ち去って行った。
2時間後、上田駅前にて。
「隼人、お疲れ様です。」
「お疲れ、エリカ。そっちはどうだった?」
手分けして調査をしていたエリカと再び合流した隼人は、エリカの調査結果を聞いた。
「やはり共通した情報としては昼夜を問わず幽霊が出現しているとのことですね。幻の牛車が出たり、部屋で子供の幽霊が遊んでいたり、誰もいないのに笑い声が聞こえたりといった意見が多かったです。」
「僕の方も、部屋に響く異音や女の幽霊、お坊さんの幽霊が出てきて窓を割ったり、後はあの屋敷で飼った犬は全て変死しているってところが引っかかったな。」
お互いに調査結果を報告し、しばらく駅前で待っていると、一台の車が現れた。
「すみません。お待たせいたしました。」
車からは運転していた平原が降りてきた。そして、その後にもう一人の中年男性が降りてきた。
「お待ちしておりました、えーっとそちらの方は?」
隼人が質問すると中年男性が答える。
「初めまして。私当店で店長を務めさせていただいております滋野と申します。本日は宜しくお願いします。」
滋野は丁寧に二人にあいさつした。そして、滋野と平原は二人を車の中に招き入れ、幽霊屋敷へと向かったのだった。
「お待たせいたしました。それでは中にご案内いたします。」
平原はそう言って屋敷の門のカギを開ける。乾いた音を立てて開いたもんの先には相変わらず荒れ放題の庭が広がっている。
「よし、調査開始だ。装甲起動!」
「フォームシフト!」
庭に入った瞬間に隼人はウインメタルに、エリカもアンドロイドモードに変身した。後ろで見ていた店長の滋野は驚いている。
「こ、これがウインメタルか。本物は初めて見ました。」
「詳しく調査するためなので、ご了承を。」
ウインメタルは滋野にそう言った。そして家の前に着くと、今度は平原がドアのかぎを取り出して開ける。
「エネルギー反応あり。朝に感じた女性の幽霊よりもずっと強い反応です。」
「迎え撃とうって言うのか?僕達を。」
そんな二人のやり取りを聞いていた滋野と平原が青ざめたのは言うまでも無い。
「呪いだ…。幽霊が俺達に出て行けって言ってるんだ。はぁ、何でうちがこんな物件掴まされなきゃいけないんだ?」
「て、店長。しっかりして下さい!」
そうして4人は中に入っていく。広い玄関を通りすぎ、最初に1階の居間を見ようとしたが…。
「うわぁ!」
「出たぁ!」
滋野と平原が悲鳴を上げる。なぜなら居間には全身ずぶぬれで青白い顔をした男性が立っており、4人を見つめていたからだ。
「出たな、幽霊。」
「エネルギー反応あり!間違いありませんね。」
ウインメタルとエリカは冷静に分析しようとしたが、幽霊は不気味に微笑むとそのまま消えてしまった。そして一階の各部屋を回った後、今度は階段で二階を上がろうとする。だが…。
「ハハハハ…。」
「ウヒヒヒヒ…。」
四人が階段を上っている最中、ずっと不気味な笑い声が響き渡っていた。
「もう嫌だ。自分がこんな物件売っていたと考えるとなると恐ろしくなってきた。」
「だ、大丈夫ですよ店長。今日はウインメタルがいるんですし。」
怯える滋野と平原とは対照的に、ウインメタルとエリカは分析を続ける。
「反応あり、やはりこれも幽霊の声だ。」
「上に行くほど反応が強くなっています。どうやら2階の方が多いみたいですね。」
こうして4人は何とか二階へたどり着き、早速ウインメタルがトイレのドアを開けたのだが…。
「「ぎやぁぁぁ!」」
再び悲鳴を上げる滋野と平原。なぜならそこには若い女性が首をつった状態でぶら下がっていたからだった。
「こいつも幽霊か。しかしよく出るね。」
「このほかにも無数の反応があります。まだ現れるでしょう。」
すっかり腰を抜かしている滋野と平原を背に、ウインメタルとエリカは解析を続けている。そしてウインメタルは一つ思った事を言った。
「しかし、これだけ出るんじゃ一回の調査で全て知るのは無理があるな。」
そして、平原と滋野の方へ向き直った。
「すみません。この物件ってもしかして他に購入予定の人っていますか?」
ウインメタルの質問に平原は答える。
「と、とんでもない。希望者どころか速く撤去しろって言うクレームすら入っているんですから。ですよね、店長。」
「あ、ああ。しかもこの間のテレビ放送で全国的に知られてしまった以上買ってくれる人なんていませんよ。はあ、もうこんな不良債権抱えるなんて嫌!店が潰れる…。」
店長の滋野も悲しそうな顔でそう言った。するとウインメタルは二人に言う。
「そうですか。確か、価格は200万円でしたっけ?」
「そ、そうですけど。」
平原が答えるとウインメタルは続けた。
「分かりました。どうせ今日だけで解決できる問題じゃないし、使う機会が無かったからもうここで使おう。」
「どういうことでしょうか?」
滋野が不思議そうに聞くとウインメタルは力強く答えた。
「決めた!この家は今日、僕が買う!」
ウインメタルの発言に滋野と平原は勿論、エリカも驚いていたのだった。
こんにちわ!
早速大量に幽霊が出てきました。
そしてウインメタルが家を購入という凄い回になってしまいました。
さあ、平成ももうすぐ終わりです。
笑顔で令和を迎えていきたいと思っております。
それではまた次回!




