表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
3489/3497

3465手間

 目の前に置かれた果物の皿にクリスは首を傾げるが、特に説明することなくダークエルフは次の仕事があるからと、笑顔でどこかに行ってしまった。


「これは?」


「あの子たちのおやつじゃな」


「どうやってあげればいいんだ?」


「このままでよい」


 半分に切られた果物が乗った皿の傍で、コツコツとテーブルを指先で鳴らせば、水浴びをしていた小鳥たちがぶるぶると身を震わせて水を落としてから、パタパタとテーブルに飛んで来てワシが叩いた箇所に飛び降りてきた。


「食べないみたいだけれど」


「クリスを警戒しておるんじゃろう」


「あぁ」


「とりあえず動かずに、動くにしてもゆっくりじゃぞ」


 ワシの言葉にゆっくりどころかピクリとも動かなくなったクリスに苦笑いしている内に、小鳥たちはゆっくりとクリスを窺いつつも果物に近づいて行き、クリスが何もしてこないことを確認するとようやく果物が乗った皿に飛び乗り果肉をついばみ始めた。

 そこでようやくクリスはゆっくりと横を向いてから息を吐き出し、小声でワシに話しかけてきた。


「これは、とりあえず認められたってことかな?」


「そうじゃのぉ、ひと先ずは大丈夫じゃと思われておるじゃろうな」


 認められたというよりも、とりあえず何もしてこないから大丈夫だろうと認識されたに過ぎない。

 ここで調子に乗って撫でようとすれば、以前の近衛と同じ末路を辿ることになる。

 それを言えば、手を伸ばしかけていたクリスは、特に何もなかったとばかりにゆっくりと手を引っ込める。


「もしかしてそれはセルカに対してもだったりするのかな」


「そんな訳は無かろう」


 何がもしかしてなのか、ワシが動物たちに拒まれることなどあろうはずもない。

 とはいえ食べている邪魔をするのも無粋なので、ほんの少しだけ小鳥たちの頭を撫でるに留めておくのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ