3457手間
鳥たちが必死にワシの肩にしがみついていた以外は然したる問題もなく、街へと帰ったところでまさかずっと待っていたわけではないだろうが、屋敷にたどり着いたところで近侍の子が待っていた。
「おかえりなさいませ」
「んむ」
「ところで神子様、その小鳥たちは?」
近侍の子がワシから荷物を受け取り、アラクネの子の荷物を持ってやりながら、その視線は鳥たちに向かっており、にこにことそれが何なのか聞いてくる。
「ついてきたのじゃ」
「そうですか。では、鳥籠をご用意いたしましょうか?」
「いや、本意ではないとはいえ、棲み処から追い出されたようなものじゃからの、狭い鳥かごに入れるのはあまりにも可哀そうじゃ」
「ではどこでお飼いになられますか」
「温室に住んで貰おうかと思うておる、あそこなればこの子らも果実も食べれるであろうし、草木に付く虫も食べてもらえるじゃろうしの」
「なるほど、それは良い考えでございますね」
ならばさっそく向かおうと近侍の子が使用人に荷物を渡し温室に行くが、道中侍女たちに見つかり、丁度よい時間だからと温室でお茶の準備をしてきますと、なぜか張り切った様子で準備をしに各々向かっていった。
「確かに丁度良い時間じゃが、なんじゃ急に」
「お世話にかこつけて、その小鳥を見たいのでしょう」
「あぁ、なるほどのぉ」
この鳥たちはかなり攻撃性が高いとはいえ、大人しくしていれば小さくて丸っこい体につぶらな瞳、かわいいものが好きな者には人気が出そうな姿をしている。




