3454手間
一先ず集落に戻ろうと歩きだしても、やはり鳥たちはどこかに行くことなくついてくる。
縄張りから出る時にワシに乗っていた鳥たちは飛び立ったのだが、代わりにスゴアルアドにくっついていた二羽がワシの頭にちょこんと乗る。
「試しに外套も脱いで見るか」
「ふむ、そうじゃな」
そう言ってスゴアルアドは羽織ってた外套を脱ぐが、鳥たちはワシの頭に乗ったまま、アラクネの子曰く、何をしてるのという目でスゴアルアドを見ていたらしい。
「一先ず、帰ったら外套を作らないとな」
「ふむ? 布やらの当てはあるのかえ」
「別に急ぐような事でもないしな、流石にこれほど着心地がいい物は無理だが、蔦から糸を編んでゆっくりと作るさ」
「ふむ」
当てがあるのであれば問題はない、スゴアルアドとしてもさほど急ぐ問題でもないらしく、元々の気質なのだろう、焦ることなくのんびりとやると。
そうして帰り着いたところで、ちょうど他のスゴアルアドと鉢合わせし、彼にどこに行っていたのかと聞きながらワシに目を移したところで、頭に止まっている二羽に気付き驚き後ずさる。
「お、おい、なんでそれがここに」
「こいつらは……」
「まさか、ついにここを縄張りにする奴が……」
「いや、これは何というか、まぁ、先ずは落ち着いてくれ」
慌てるスゴアルアドが落ち着いたところで、その騒ぎを聞きつけたのか他のスゴアルアドたちも集まってきたので、彼らも慌て始める前にワシと共に居たスゴアルアドが彼らに今までの事を説明する。
「なるほど? あいつらは私たちの装飾品が気に入らなかったわけか」
「鳥に気に入る気に入らないがあるかは分からないが、それらを目がけていたことは間違いないな」
今はワシの頭の上で大人しくしている鳥をまじまじと見ながら、他のスゴアルアドたちも退治する必要がないならばそれが一番だとすぐに納得し、今後は外套をぼちぼち作るかと何やら相談をワシらのことを忘れ始めるのだった……




