表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナザー・フロンティア・オンライン ~生産系スキルを極めたらチートなNPCを雇えるようになりました~  作者: ぺんぎん
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/522

後半戦

 

 ハヤトは砦の上からアッシュ達を確認する。


 アッシュを中央に左側にルナリア、右側にミストがいる。その少し後方にレリックがいて、さらにその後方にディーテ、エシャ、レンがいた。


 相手側に動きはない。前衛二人と中衛を一人倒しているので、相手は七人。こちらはマリスとランスロットが倒されているので八人いるが、ハヤトは戦えないので人数的には互角だ。


 アッシュ達が敵陣に入る。だが、相手はまだ誰も出てこない。そしてエシャ達も敵陣に入った。


 ハヤトの耳に音声チャットの声が聞こえてくる。


「では私はここに陣取らせてもらいます。ここでならフィールド上のすべてが私の攻撃範囲なので」


「なら私もここでエシャの護衛を致しましょう。ディーテ様やレン様に何かあれば縮地で護衛をしますので」


 エシャとレリックが敵陣に入ったすぐのところに陣取った。フィールド上の中心に位置する場所から全方位に攻撃が可能となっている。


 ふと、アッシュが歩みを止めて、エシャの方を見る。


「エシャ、デストロイが撃てるまでどれくらいかかる?」


「あと十五分は無理ですね」


「もし撃てるようになったら、蛮族か黒装束をやってくれ。あの二人はHPをチマチマ削って倒すのは無理だからな」


「分かりました。足止めしてくれれば撃ちますよ」


 アッシュはエシャの言葉に頷いてから、相手の砦の方へ歩みを進めた。


 直後に砦から蛮族と黒装束が出てくる。そしてすぐに縮地を使い、エシャとレリックの前に現れた。エシャの前には蛮族、レリックの前には黒装束だ。


 エシャはすぐに左側へ飛びのいて、地面を転がるように移動する。そして体勢を立て直すと同時に片膝をついたままベルゼーブで蛮族を撃った。しかも連射だ。


 蛮族男はラブリュスと呼ばれる巨大な斧を盾のように持ち、その攻撃を防いでいる。


 エシャは構わずに何度も攻撃を繰り返した。


 ベルゼーブは魔法銃なので弾の装填などは必要ないが、撃つのに魔力を消費する。エシャは攻撃をしながら左手でメロンジュースの入った瓶を持ち、口でコルクを外してからペッと捨てるとすぐに飲み始めた。


 レリックは黒装束の男と戦っているのでエシャの護衛は難しそうなのだが、エシャはエシャで何とかできそうな感じではあった。


「作戦変更だ! ルナリアはエシャ達の護衛を! 俺とミストはクランストーンを狙う! 他は黒装束を狙え!」


 アッシュがそう叫ぶと、ミストとともに相手の砦の方へ走った。途中、ミストだけは巨大なコウモリとなって空を飛ぶ。直接砦の屋上へ向かったのだ。


 エシャの連射が止まった。魔力を回復させながら撃ってはいたが、消費の方が激しくMPが底をついたのだ。それを見破ったのか蛮族の男がエシャへ高速で移動した。そして斧を振りかぶる。


「させない」


 エシャの目の前にルナリアが現れた。そしてアロンダイトを横にして蛮族の斧を受ける。金属がぶつかる激しい音がしたが、ダメージはない。


「エシャちゃん、逃げて」


 エシャは頷くと、メロンジュースを飲みながら蛮族と距離を取った。


 直後、ルナリアは黒い刀身のアロンダイトを高速で振るう。攻撃は一度だけではない。高速の連続攻撃が蛮族を襲った。


 またも蛮族は防御するだけとなる。


 だが、蛮族はすぐ距離を取った。そしてかなりの移動速度でハヤトのいる砦へ向かった。


 レリックはそれを追うつもりで縮地を使おうとするが、黒装束がローキックを放ってそれを阻止する。


 エシャも蛮族の男を攻撃するが、その移動速度に照準を定めることができず、攻撃が当たらない。


 見る見るうちに蛮族は砦に近づいてきた。


(まずい。砦には俺一人しかいないぞ)


 あと数秒もすれば蛮族の男がこの砦に到着する。間違いなくクランストーン狙い。それを破壊すればどんな状況であっても勝ちになる。ハヤトが破壊の邪魔をしても一撃で倒されるだろう。時間が稼げても数秒だ。


「エシャさんは私を狙ってください! ハヤトさんはトマトジュースの準備を!」


 ミストからの音声チャットで理解する。ハヤトはトマトジュースを用意して棺桶のそばに寄った。


 エシャは今日何本目かのメロンジュースの瓶を投げ捨てて、相手の砦から戻ってきたミストに狙いを定めた。そしてクリティカルショットを三発、立て続けにミストに撃ち込む。


 その攻撃でミストは光の粒子となって消え去るが、砦にある棺桶に灰が出現した。


 ハヤトは素早く灰にトマトジュースをかける。


 蛮族の男が屋上へ来たと同時に、ミストが復活した。


「吸血鬼にそんな手があるなんて知らなかったね。もしかして棺桶を壊せば復活はできないってことかい?」


「そんなことはさせませんよ。これほどの寝具は滅多にお目にかかれませんからね」


 ミストはドラゴンブラッドを飲む。特殊な魔法の媒体として使われるのが主な利用法だが、吸血鬼が飲むことでステータスを大幅に向上させるのだ。さらに今は夜。ミストは最強状態だと言えるだろう。


 ミストはすらりとレイピアを抜くと、剣先を蛮族の男に向けた。普段は素手やコウモリ状態での体当たりが多いが、今は優雅そうな振る舞いでレイピアを持っている。


 そして次の瞬間、ほぼ同時に三回ほど金属音が響いた。レイピアのウェポンスキル、トリプルストライクだ。高速の三段突きだが、そのすべてを相手は受けきった。


「やりますね」


「そっちこそ」


 そしてミストと蛮族の戦いが始まった。


(俺は邪魔しないようにするしかないな)


 ハヤトはそう考えて二人から離れた。念のためクランストーンの近くにはいるが、おそらく何の役にも立たないだろう。


 そしてフィールドでは色々と状況が動いていた。


 アッシュは敵の砦の中に入った。


 ハヤトはその状況を見ることはできないが、何かしらの戦いが始まっているのは分かる。


 そしてフィールド上では黒装束とレリックが戦っていた。


 一対一ならレリックは勝てないが、今は近くにルナリアやレン、ディーテがいる。そしてエシャの援護射撃もあった。支援を受けたレリックならば、負ける要素は微塵もないだろう。


 それに今はレンの呪詛魔法が黒装束を蝕んでいる。かなりの早さでHPを削っているのだ。黒装束の男は高品質のエリクサーを飲んだが回復が間に合わなかった。


 縮地で逃げるとしても、全員が近くにいて逃げ場がない。黒装束の男はそのまま光の粒子になって消えてしまった。


「防衛に戻らなくて良いのですか? 黒装束の方は倒されましたよ?」


「まさかアイツまで倒すとはね。さて、どうしたものかなぁ」


 お互いかなり速く動いているのでそんな余裕はなさそうなのだが、ミストと蛮族は戦いながら話をしている。


 そしてエシャ達は砦の方へ向かい始めた。フィールド上に敵がいなくなったので砦の中に入り、クランストーンを狙うのだろうとハヤトは考える。


 砦に残っているのは中衛が二人に後衛が三人だ。砦の上から弓による攻撃をしているが、さほど脅威ではない。問題なく砦へ入れるだろう。


 その考えは間違っておらず、エシャ以外の全員が相手の砦に入った。


 エシャはなぜか外でメロンジュースを飲んでいる。そして飲み終わると、相手側の砦入口付近で右――北側の砦ではなく、何もない東を向き片膝をついてベルゼーブを構えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 復活用の棺桶って、前に作ってた★4↓のじゃダメなんかな?
[良い点] 手に汗握る展開ってこの事ですね。 ほんと、今1番の面白さです。 そして毎日更新ありがとうございます。 これからも楽しみにしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ