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第二十八話 黄金のスキル

遅くなりました!久しぶりの更新です!

 【ダルシアン闘技場】の中央部で睨み合うアルフレドたちと、【マゼンティア公国】の三賢者、そして【黒死王・ディミトリス】。


 「ふん……ならば直接貴様らを葬ってくれよう」

 「やれるもんならやってみやがれ!」

 「返り討ちにしてあげますわ」


 マグナスの挑発に、勝気の発現で答えるアデリナとカグヤ。

 アルフレドを挟んで両脇を固めて、臨戦態勢に入っている。


 「さて、ノーマ卿とゼブル卿、二人は両端の野蛮な女共の相手をお願いします。私と【黒死王】は、アルフレドを殺しますので」

 「い、いや私はこういう戦闘は苦手で……」

 「ああ、わしももう年でなぁ、できれば遠慮したいんじゃが……」


 両脇の賢者の弱腰に、マグナスのこめかみがピクリと動く。


 「ほう……誇り高き【マゼンティア公国】の賢者と呼ばれるものが、そんな弱腰でどうする。我が国にそんな腰抜け共はいらんのだ!」


 そう言いながら、両手に魔力を集中し始める。


 「な、なにを……まさか!?」

 「そんな!それだけはやめてくれぇ!!!」

 「【マゼンティア公国】の恥さらしが……【邪獣進化】!!!」


 マグナスがスキルを発動した瞬間、ノーマ卿とゼブル卿が苦しみながらのたうち回り始めた。


 「ぐぁぁぁアアアアアア!!!」

 「た、たすけてええええええオオオオオオオオオ!!!!」


 苦悶の表情を浮かべながら絶叫し続けるが、いつしか声が魔獣の咆哮のように変化し始めた。

 それに伴い、二人の体がどんどん変化していく。


 ノーマ卿は、巨大な牙を生やした二足歩行の大猪の姿に、ゼブル卿は、背中からコウモリのような羽根が生え、大きな蜥蜴のような姿に変貌してしまった。


 「ふん……【エビルオークロード】に【エビルスカイリザード】か、あの老いぼれ達にしては、なかなか強力なモンスターへ進化したな」


 マグナスが不敵な笑みを浮かべている。

 どうやら、ノーマ卿とゼブル卿は、マグナスの魔法で巨大なモンスターへと変えられてしまったらしい。


 「な、なんて悪趣味な魔法を使いやがる……」

 「あれが、マグナスの魔法……」

 「ああ、【マゼンティア公国】の三賢者の一人、【魔召のマグナス】、モンスターを召喚したり、使役することに関しては右に出るものがいないほどの使い手だ。恐らくあの魔法もその系統のものだろう」

 

 マグナスが更に魔力を集中すると、モンスターと化したノーマ卿とゼブル卿に強化のエフェクトが宿り始めた。


 「【邪獣強化】!【魔獣覚醒】!【狂化】!【魔導の盾】!【業魔の牙】!【装甲硬化】!」


 【魔召のマグナス】は、自らが作り出したモンスターを戦わせることを得意とする。

 そのため、モンスターに使用する強化魔法に関しては、比類なき多彩さを誇っている。

 そのマグナスが、ありとあらゆる強化魔法をノーマ卿とゼブル卿に使用し始めた。

 幾重にも重ね掛けされた強化魔法は凄まじい相乗効果を生み出し、ノーマ卿とゼブル卿のステータスをSクラスモンスターへ匹敵するレベルにまで大幅に強化してしまった。


 「ふははは!これで少しは勝負になるだろう!さあ行けぇ、あいつらを殺してしまえ!」

 「フゴオオオオオオ!!!!」

 「キエエエエエエエ!!!!」


 マグナスの号令でノーマ卿はカグヤに、ゼブル卿はアデリナへ向かって戦闘を仕掛けた。


 「なんだぁ?あんなのありかよ!?」

 「厄介な!とにかくあいつらは私たちで倒すわよ!」


 カグヤは、両手に双剣【金星】と【銀月】を持ち、銀色に輝く鎧を着こんでいる。

 アデリナの方は、巨大なライフル銃を持ち、普段の服装とは違い、全身にプロテクターのような装甲を装備している。

 今回、二人が選択している装備は、正に本気で戦闘するときに使用するものだった。


 万が一にも観客たちに被害が及ぶことは避けなければならない。

 そんな思いを胸に、目の前の強敵を本気で退治すると心に決めたのであった。


 

 ……一方の、アルフレドとマグナスたちも、今まさに激戦の火蓋が切って落とされようとしていた。


 「さて、覚悟はできたか?【ダルシアン王国】最強と言われた貴様といえども、私と【黒死王】を一気に相手するとなれば、死以外の未来は有り得まい」

 「へえ、妙なことを言うね、まあ僕の未来は僕自身が決める。さあ、いつでも掛かってくるといいさ」

 『生意気な人間めぇ!八つ裂きにしてその魂を喰らってやるわぁ!!!』


 アルフレドの言動に腹を立てたのか、【黒死王・ディミトリス】が牙を剥き出しにしながら威嚇する。


 「ふん、強がりを言いおって……【召喚・ギガントトロール・レッドトロール】!」


 マグナスが召喚魔法を使用すると、魔法陣からギガントトロールが三匹、更にレッドトロールが十数匹出現してきた。


 「……ギガントトロールだと?まさか、最近のレッドトロールの件もお前の差し金なのか?」

 「……なかなか鋭いな。ああ、そうさ。貴様らの戦力を少しでも削ぐために、近くにギガントトロールを放ってやったのよ」


 つい最近、都たちが達成したク異常な数が確認されたレッドトロールと、いるはずのないギガントトロールの討伐クエスト。

 【ダルシアン王国】の冒険者たちにも少なくない犠牲者を出してしまった、高難度のクエストだったが、これらも全てマグナスが暗躍した結果だった。

 

 「アデリナからの報告を聞いて、裏で糸を引いているものがいるとは考えていたが……まさか【マゼンティア公国】が絡んでいたとはね」

 「ふん!これだけの数のモンスターならば誰も止められまい。さあ行け!この町の住民たちを皆殺しにするのだ!」


 マグナスの号令で、ギガントトロールたちが観客席の方へ向かっていく。

 先程のアークデーモンたちとの戦いで手一杯の冒険者たちには絶望的な援軍が出現してしまった。


 「……大丈夫。【ダルシアン王国】は負けないさ」


 アルフレドは、微笑みながら一つのスキルを発動させた。


 「【軍神馬(スレイプニル)】」


 その瞬間、闘技場一帯が黄金色の光に包まれた。

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[良い点] 戦いの行方はどうなるのか。ハラハラドキドキで楽しみにしています!
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