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第十七話 新たな装備

 大斧ゴリラ、もとい【黒斧】のザンジバルとの試合が決まってから約一週間が経った。


 明日はいよいよ試合の当日だ。


 ……なのに、私と歩美は今、ダンジョンの中にいる。


 ギルドから受注したAランククエスト、グレーターバジリスクの討伐クエストの真っ最中だ。

 用事で外出しているアルフレド団長を除く五名で挑んでいるところである。


 「そっち行ったよー、都ちゃん、後はよろしくね!」

 「まかせてぇ!【鼠花火(コンボスター)】!!!」


 歩美が追い込んでくれたグレーターバジリスクに向かって回転しながら突進していく。

 【鼠算(インフィニットゲージ)】は既に発動済みのため、【鼠花火(コンボスター)】によって発生した多段ダメージにて見る見るダメージが増加していく。


 「ギャギャギャギャギャギャ!!!!」


 断末魔を上げながら、Aランクモンスターグレーターバジリスクは沈黙し息絶えた。



 【グレーターバジリスク】討伐報酬


  大毒蜥蜴の鱗、大毒蜥蜴の爪、大毒蜥蜴の毒袋を入手しました。


  経験値14000を入手、レベルがアップしました。  【Lv49→50】 



 ふう、これでやっとレベルが50に達した。

 アルフレド団長が一週間前に設定した目標をギリギリで達成することができた。



 「これで目標は達成ね、よくやったわ二人とも」

 「ああ、Aランクモンスター相手でも二人で余裕で倒せるじゃねーか」

 「本当に見違えましたね、明日の試合も期待できるんじゃないですか」


 アデリナさん、カグヤさん、大河くんがそれぞれ褒めてくれる。

 確かにこの一週間で私と歩美はかなり成長することができた。


 連日の怒涛のクエスト受注地獄が功を奏したのか、二人ともレベルは50を超えている。


 後から聞いたのだが、こちらの世界での一人前の冒険者のラインがレベル50らしい。

 一週間前までセーラー服を着ていた女子高生だった私たちが、屈強な冒険者たちと肩を並べるくらいなのだから、人生わからないものだ。


 「さて、目標も達成したことだし、これでレベル上げは終了ね、ギルドで報酬をもらってから【金剛工房】へ装備を受け取りにいきましょう」


 そういえば、一週間まえに装備を発注しに行ったっけな。

 あまりに毎日が忙しすぎてすっかり忘れてた。

 あれから私たちは借り物の装備で日々頑張っていた。

 【金剛工房】に依頼していたのは、私と歩美のための専用装備だ、アデリナさんいわく、それぞれの戦闘スタイルに合わせて製作されているので、今の仮の装備と比較したら、間違いなく大幅な戦力アップに繋がるとのことだから、今から装備を受け取るのが楽しみだ。


 私たちは、ギルドで報酬を受け取ったあとに、【金剛工房】へと向かった。


 工房の入り口をくぐると――

 「いるぁっしゃいますぇぇえええええ!!!!」

 「ごぉぉめいさまあ!ごあんないいいいい!!!!」


 聞き慣れた居酒屋チェーン風の挨拶が響き渡る、行ったことないんだけどね。


 そこへゴルディさんが現れ工房の中へと案内してくれた。


 「いつもありがとうございます!本日はお二人さんの装備のお渡しでよろしかったでしょうか?」

 「ええ、そうよ」

 「はい!承知いたしやした!おうおうおうおう!野郎ども!ご注文の品ぁ!お受け取りだぁぁ!!!」

 「はいいいい!!!よろこんでぇぇぇえええええ!!!!」


 ゴルディさんが声を張り上げると、負けじと工房内の屈強な男たちが声をさらに張り上げる。

 前よりも大きくなってない?

 どこぞの居酒屋チェーンでもこんなに声を張り上げないよ?行ったことないけど。


 ゴルディさんの合図で、工房から屈強な男たちが装備を運んでくる。


 「よし、まずは【盗賊】用の装備からお披露目しますぜぃ!まずは防具からどうぞ!」


 カウンターに並べられた防具一式を確認すると――


 【王蜥蜴の黒装束】

 キングリザードの素材で作られた黒装束、随所にオリハルコンを用いて強度を上昇させてある。

 防御力+320


 【王蜥蜴の手袋】

 キングリザードの素材で作られた手袋、盗賊用に手先の器用さを発揮できるように調整されている。

 防御力+138


 【王蜥蜴のブーツ】

 キングリザードの素材で作られたブーツ、機動性を保ちつつ、防御力も可能な限り上昇させるようにギリギリの調整がされている。

 防御力+132 素早さ+78


 装備は全体的に盗賊仕様ということで、軽装備となっているが、所々にオリハルコンなどの貴重な金属を用いて防御力を上昇させてある。

 うん、この装備なら、全力で動きつつ守るべきところは守ってあるって感じで安心感がある。

 全身黒づくめの、いよいよ盗賊まっしぐらって感じだけど、今のレンタル品の装備よりはしっくりきそうな気がする。


 「そして、こちら盗賊用の武器となります」


 ゴルディさんが布にくるまれたも武器を持ってきて目の前で布を取り払う。

 そこには、黒を基調としたサバイバルナイフのような武器があった。

 柄の部分は、オリハルコンを使用しているのだろうか、眩しいほどに銀の光を放っている。

 刀身は鮮やかな黒光りとなっており、物凄く切れ味が鋭そうだ。


 【黒刃:毒鼬(どくいたち)


 キングリザード、地獄サソリの素材で作られたナイフ、柄の部分はオリハルコン、刀身はキングリザードの鱗、地獄サソリの毒針、オリハルコンを混ぜて作られている。攻撃時に毒の効果を付与する。

 攻撃力+450



 おお……

 こんなにプラス値が得られるのか、それに毒の追加効果まで付いてくるとは。

 見た目もかなりかっこいいし、とてつもなく気に入ってしまったかもしれない。

 早く一式装備してみたいが、先に歩美の装備も確認しないとね。


 「気に入ってくれたみたいで良かったですぜ!それでは、つぎは【斧戦士】用の装備をどうぞ!」


 【地獄蠍の甲冑】

 地獄サソリの素材で作られた全身鎧、地獄サソリの甲殻とアダマンタイトをふんだんに使用しているため、防御力はかなり高いが、その分重量も増加している。

 防御力+620


 【闘斧:桃獄(とうごく)

 地獄サソリとキングリザードの素材で作られた大斧、地獄サソリの剛爪とキングリザードの鱗、アダマンタイト、オリハルコンを混ぜて作られている。かなりの重量を誇るが、その分威力は増加している。

 攻撃力+650


 歩美の装備は正に重戦士のそれだ、腕や足の装備はなく、全身鎧の甲冑でまとめて補っている。

 武器も大型の戦斧で、大斧ゴリラことザンジバルくんと丸被りだ。

 ちなみに見た目は全身ピンク色となっている。

 武器も斧の柄の部分は鮮やかなピンクで、刃の部分は見事なまでに黒光りしている。

 これは歩美の希望だそうで、っていうか希望なんていつ伝えたんだ?

 私はそんなの知らなかったぞ、私なんて全身黒装束だかんな。


 「都ちゃん見て見て、全身ピンクで可愛いねー」


 いや、歩美よ、あんたは全身ピンクのその姿で明日の試合に挑むのか?

 確か闘技場でお客さんを入れて戦うって聞いているけど、全身黒装束と全身ピンクの謎の女たち VS大斧ゴリラってどんな戦いだよ! 

 逆にちょっと見てみたいわ!


 「なかなか良い感じね、二人ともさっそく装備してみたらどうかしら?」


 アデリナさんに促され、完成したばかりの武器、防具を装備してみることにした。

 

 子々津 都

 ジョブ : 盗賊(シーフ)

 レベル : 50

 HP : 522

 МP : 399

 攻撃力 : 501 + 450

 防御力 : 422 + 490

 素早さ : 577 + 78

 魔法力 : 336

 スキル : 【特性・ねずみ】

       【短剣術レベル5】


 装備品 : 【黒刃:毒鼬(どくいたち)

       【王蜥蜴の黒装束】

       【王蜥蜴の手袋】

       【王蜥蜴のブーツ】


 牛乃 歩美

 ジョブ : 斧戦士(アックスファイター)

 レベル : 50

 HP : 675

 МP : 376

 攻撃力 : 660 + 650

 防御力 : 658 + 620

 素早さ : 341

 魔法力 : 234

 スキル : 【特性・うし】

       【斧術レベル5】


 装備品 : 【闘斧:桃獄(とうごく)

       【地獄蠍の甲冑】

       

 新装備込みでの能力は二人とも1000前後となっており、かなり高くなっている。

 これなら本当に明日の試合も期待できるんじゃないだろうか。

 見た目も今までの仮の装備とは違い、かなりビシッと決まって嫌でも気合が入る気がする。


 「さて、装備も整ったことだし、後は明日の作戦会議をクランハウスでやりましょう」


 アデリナさんの提案によりクランハウスにて明日のための作戦会議を開くことになった。

 泣いても笑ってもあと一日で試合だ。そろそろ覚悟を本気で決めなければいけないな。


 私はそんなことを考えながら【えとらんぜ】のクランハウスへ向かう帰路についた。


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