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第十五話 「うま」の団長登場

 「今度はAランクモンスターを倒してしまったんですか!?あなたたちは一体何者なんですか!?」


 ギガントトロールの討伐を終えた私たちの報告に、受付嬢はまたまた驚愕している。

 まず、レッドトロール討伐のBランククエストのはずだったのに、Aランクのギガントトロールが黒幕として控えていたこと。

  ギガントトロールが率いていたレッドトロール十数体の群れもアデリナさんとカグヤさんだけで討伐してしまったこと。

 そして、そのギガントトロールを私と歩美と大河くんの三人だけで討伐してしまったこと。



 これら全てを報告し、報酬を受け取ろうとしたが、受付嬢が驚きすぎて話が進まない状況だ。


 「え、えーと……事態は理解しました!申し訳ないんですが、対応は上と相談させて頂いてもいいでしょうか?ちょっと想定外のことが多すぎて……」

 「ええ、別に構わないわよ。報酬の額とかも変わってくると思うし、あなたの一存では決めきれないわよね」

 「は、はいその通りでして……お手間を取らせて申し訳ないんですけど、明日もう一度、こちらに来ていただくことは可能でしょうか?」

 「わかったわ、じゃあ明日のこの時間にもう一度来させていただくわ」


 ギルドへの報告を終えたが、報酬の受け取りなどは明日になってしまったため、一度クランハウスに戻ることになった――



 そして、五人でクランハウスに戻ってきたが、リビングに一人の男性がいるのに気が付いた。


 「あら?団長戻ってきたんですか?」

 「ああ、ついさっき戻ってきたところさ」


 炎のような真っ赤な髪の精悍な男性が微笑みかけてきた。

 一見して王子様?と誰もが考えてしまいそうな整った顔をしているが、体つきは完全に鍛えられた戦士のようで、かなり引き締まっている。


 「おう!団長!久しぶりだな、元気してたか?」

 「もちろん元気に決まってるだろう、カグヤも元気そうでなによりだ」


 カグヤさんもとびきりの笑顔で団長と呼ばれている男性と話をしている。

 そうか、この人が……


 「都ちゃんと歩美ちゃんにも紹介するわね、この人が【えとらんぜ】の団長よ」

 「ああ、君たちが新しいメンバーだね、、僕は【アルフレド・シュヴァル】この【えとらんぜ】の団長をつとめている、遅ればせながら歓迎させてもらうよ、よろしくね」


 そう言いながら団長が微笑む。

 やだ、なにこのイケメンスマイル、何ていうかこの団長はイケメンなのはもちろんなのだが、人間としての器?とでもいうのか、全てを受け入れてくれそうな抱擁力を持っているような、そんな雰囲気を持っている。

 アデリナさんやカグヤさんが付いていく理由が少しだけだがわかったような気がした。


 「これで、アデリナの【ひつじ】、カグヤの【うさぎ】、大河の【とら】と都ちゃんの【ねずみ】と歩美ちゃんの【うし】、そして僕の【うま】で六人の獣の特性スキルを持つ者が集まった。残りは六人、やっと半分まできたんだね」


 団長が感慨深そうに目を細めている。

 アデリナさんとカグヤさんも、うんうんと頷いている。


 「さて、団長いろいろと報告がありますので、別室へお願いします、他のみんなは休憩しておいてちょうだい。報告が終わったらみんなで美味しいものでも食べにいきましょう」


 そう言い残して、団長とアデリナさんは奥の方へ移動していった。


 「さて、あたしも自分の部屋でゆっくりすっかな、大河たちもせっかくだし、ゆっくりしなよ?」


 カグヤさんもあくびをしながら、自分の部屋へ戻っていく。


 「歩美はどうする?」

 「私もけっこう疲れたから部屋でのんびりしようかな、都ちゃんは?」

 「んー、じゃあ私もそうしようかな、大河くんは?」

 「僕は少し特訓してから休もうかと思います、二人はお気になさらず休んでくださいね」


 おおう、あんな激戦を繰り広げておいてまだ頑張るのか、真面目なのか馬鹿なのか、そらあんなに強くなるわけだよ本当に。

 感心しながら自分の部屋へ戻り、ベッドにダイブした。


 「はー……やっぱり疲れたな、今日もあんなに狂暴な巨人と戦って倒しちゃったり、自分でも信じられないや……」


 異世界へ召喚されてからの怒涛の展開を改めて思い返しているうちに、ウトウトしてくる……

 いつしか眠気に負けて熟睡してしまったようだ。


 コンコン……というノックの音で目を覚ます。

 慌てて「はーい!」と返事をすると、ドアが開きアデリナさんが部屋へ入ってきた。


 「あら?寝てたの、そろそろみんなで食事にいこうかと思ったんだけど大丈夫?」

 「え、ええ!大丈夫です!すぐに支度しますね!」

 「慌てなくても大丈夫よ、それじゃリビングで待ってるからね」


 アデリナさんは微笑みながらそう告げてリビングへ向かっていった。

 私も急いで身支度を整えリビングへ向かう。

 リビングには、もう皆が揃っていた。

 歩美は目をこすりながらまだ眠そうだ、やっぱり歩美も寝ていたんだな。


 「さて、それじゃあそろそろ【星降り亭】へ向かいましょうか」


 アデリナさんの合図で皆が移動を開始する。

 どうやらクランハウスの裏手にあるレストランへいくようだ。


 「【星降り亭】へ行くのは久しぶりですね」

 「ああ、そうだな、たっぷり食べてやるぜ」


 大河くんがカグヤさんと楽しそうに話している。

 【星降り亭】は、【ダルシアン】の中ではかなり有名なレストランで、食事が美味しいことで有名らしい。

 【えとらんぜ】のみんなも、場所が近いということもあり、事あるごとに利用しているため、私と歩美以外は常連といえるほどの立場らしい。


 「都ちゃん、楽しみだねー、私何食べようかなー」

 「うん、そ、そうだね、ほどほどにしなよー」


 歩美が物凄く幸せそうな顔をして、自分の食べるものを想像している。

 口からよだれが垂れてきそうな勢いで口がほころんでいる。


 やがて、大きな星の形の看板に【ようこそ!星降り亭へ!】と描かれているレストランへ着いた。


 中へ入ると、たくさんの人でごった返していた。

 冒険者や商人、貴族のような人たちまで様々な風貌のお客さんで溢れている。

 やがて、一つの席へ案内され、私たちは席に着いた。


 アデリナさんとカグヤさんが色々とお勧めを注文してくれ、目の前に美味しそうな料理が所せましと並べられた。

 歩美はもう目が輝きすぎて直視できないなこれ。


 「さて、みんな聞いてくれ、今まで本当にお疲れだったね、これでうちのクランも六人になり、やっと目的の半分を達成することができた。これもここにいる全員の頑張りのおかげだと思っている。今日は楽しく英気を養い、明日からまた頑張ろう。よし、それじゃあ乾杯!!!」


 「「「「「かんぱーーーーーい!!!」」」」」


 全員で乾杯をおこない、それぞれ料理に手を付けはじめた。


 これでやっと半分、晴れて六人となった【えとらんぜ】の冒険はまだまだ続いていくことになりそうだ。

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