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【電書、書籍発売】番外編 無関係だったわたしがあなたの子どもを生んだ訳  作者: キムラましゅろう


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自称転生ヒロイン

今週もお読みいただきありがとうこざいます!

ごく普通の男爵家に生まれたごく普通の令嬢だったリリスがごく普通でなくなったのは彼女が十二歳の時であった。


自宅の庭のブランコに乗っていて、そこからずり落ちて頭を打った拍子に前世の記憶を取り戻したからだ。


それまでのリリスは毒にも薬にもならない、悪い子でも良い子でもない、平々凡々な少女であった。


しかし前世の記憶を取り戻し、今世で自分が暮らしている世界が前世で散々読み散らかしたラノベや散々のめり込んだ乙女ゲームの世界とよく似た世界であると気付き、ならばこのシチュのワタシってばこの世界のヒロインなんじゃない?と思った瞬間、彼女の中の何かが変わったのだ。


リリスは鏡の前に立ち、そこに映った己の姿を見て確信した。


「ピンクの髪にキラキラの瞳~♡やっぱりワタシってばヒロインじゃ~ん!」


今は平凡な容姿だが、ヒロインだというならきっとメキメキ美少女になるはず!


リリスはそう思い、その日から自分磨きに没頭した。

するともともと平凡だった顔立ちは良い方にも悪い方にも変化しやすいようで、運良く良い方へと転じてゆき、リリスはあっという間に美少女と呼ばれる類の顔立ちとなったのであった。


「あとはアレよね~転生ヒロインにつきもののチート?なにか特別な能力がワタシにはあるはず♡う~んでもそれは何かしら……転生ヒロインといえばやっぱり聖女?ざまぁされる聖女もいるけど~、ワタシはヒロインだからそんなはずはないし~♪じゃあちょっと教会にでも行ってみよっと!」


そんな軽いノリでリリスは教会へ行く事にしたのであった。

アデリオールには大陸国教会がないために、わざわざ総本山のある他国にまで足を延ばして。


そこで何の成果も出なかったのであれば、リリスはこのままちょっと前世の記憶を持つだけの風変わりな令嬢で終わったのだろうが、幸か不幸かその教会で彼女の類まれなる神聖力が見つかってしまったのだ。


神聖力とは教会側が称した呼び方であって元は魔力の事である。


リリスはこれまで魔力が極めて低い低魔力保持者であったがこれも頭を打った影響か膨大な魔力を有する体へと変化を遂げてしまったのだ。



これにより教会はリリスを聖女と認定し、母国であるアデリオールにその旨を報告した。

そしてリリスの保護を要請し、それにアデリオール側が(渋々)応えた事により彼女は鳴り物入りで凱旋したのであった。


そしてこれも慣例で(渋々)出迎える事になった王族との顔合わせで、デイビッド王子に一目惚れをしたリリスは第一攻略者をデイビッドに定めたのであった。


「きゃーん♡さすがは王子サマ~超イケメンなんですけどぉ~?ヒロインのワタシにふさわし~い!」


と有頂天になってリリスは喜んだ。

デイビッドにはすでに婚約者がいるらしいがリリスにとってはそんなの関係ねぇ、だ。


王子の婚約者なんて間違いなく政略により結ばれた形だけのもの。

そして王子はその婚約者に興味はなく、突然彗星の如く現れた聖女であるヒロインを溺愛するものと相場が決まっている。

そしてそれを腹立たしく思った婚約者は悪役令嬢と化してヒロインを虐めるのだ。


その結果悪役令嬢は王子に断罪され、婚約破棄の末に追放もしくは修道院送りとなるのがお決まりのテンプレである。


そんな悪役令嬢など取るに足りず、何を恐れる必要があろうか。


「ふふん、楽勝楽勝ぉ~♡早く学校に行きたいな~♡悪役令嬢に思いっきりワタシと王子のラブラブっぷりを見せつけてやるんだ~♡」


と、邪で呑気な事を考えてきたリリス。

そうして始まった彼女の学園生活なのだが、

リリスが思い描いていたのとは少し…いやかなり外れたものであった。


まずデイビッド王子が全くといっていいほどリリスに興味を示さない。

最初は照れているのかな?とか王子は真面目だから人目を気にして塩対応を取るのね!とか思っていたが、どのような場面でも塩っぱい対応で接せられるのだ。


まぁこれはいい。

所詮坊やなんてちょっとおっぱいでも触らせてやればイチコロなはず。

(リリスは前世では二十代の陽キャであった)


問題は悪役令嬢であるはずのデイビッドの婚約者だ。

ちっとも悪役令嬢らしくヒロインであるリリスを虐めてこない。

それに髪型もドリル級の縦ろーるではなく少し毛先にクセのあるふんわりとしたストレートだし、何より信じられないくらい美少女なのだ!


「何よぅアレ~!ふんだ、ヒロインであるワタシの方が絶対にカワイイんだからぁ~」


美人で家柄も良く性格もいいと評判のデイビッドの婚約者、ポレット=ワイズ。


本来わがままで家族や親族にも疎まれるキャラであるハズの悪役令嬢が、従兄の嫁とかいう自分と同じ転生者にさえも守られている始末。


しかもその同じ転生者がリリスに無駄だから諦めろとまで言うのだ。

無駄ってなんだ、諦めろって誰に言ってんだ。


「うわぁ~ガチでムカつくんですけどぉ~!王子ってば悪役令嬢とむちゃ仲良しだしぃ~!も~こうなったらチートパワー炸裂しちゃう?やっちゃう?やっちゃう?」


聖女認定と共に国教会より授かった聖なるアイテム、魅了指輪(チャームリング)


アデリオールでは減少の一途を辿る信仰者を増やすという名目で渡されたのだ。


この指輪に聖女の神聖力を注ぎ込めば、目を合わせ手で触れた者の()()()を目覚めさせることができるらしい。


そして絶大なる()()()をチャームリングをつけた聖女を寄せてくるという。


「なんてヒロインのワタシにふさわしいアイテムなの~♡」


まぁ本音をいうならばリリスはこの指輪は使いたくなかったのだ。

乙女ゲームでもラノベでも、魅了を用いた聖女の末路は酷いものであった。


しかしデイビッドは一向に靡かないし悪役令嬢は悪役令嬢してくれない。

このままではいつまでたってもデイビッド王子を攻略出来ないではないか。


「さっさと王子を落として、学園で王子と人気を二分するというルシアン=ワイズ先輩の攻略に取り掛かりたいのに~!目指すは逆ハー!逆ハーよ!」


魅了を使うのに一抹の不安を感じなくはないが、ラノベの聖女達と同じ轍を踏まなければいいのだ。

それにこれは()()()を芽生えさせてあげる言わば宗教活動の一環である。


「ワタシなら出来るし許されるわ~!だってワタシはこの世界のヒロインなんだもの~!」



完全に自分はこの世界のヒロインだと思い込んでいるリリス。


彼女は逆ハーエンドを目指すために魅了指輪(チャームリング)をその指にはめたのであった。



しかし何故かせっかくチャームリング身につけて、デイビッドと接しはじめていたというのに王子は突然他国への視察へと行ってしまったのだ。


「も~!ぷんぷん!どーうしてこのタイミング~?まぁいいわ、先に土台を作っておきましょ~♪ワタシを守ってくれる沢山のモブ騎士(ナイト)を手に入れるのよ~♡」


と、とりあえずは狙いをデイビッドから学園のモブ男子生徒たちに変えたリリスが、チャームリングによりあっという間に聖女の()()()を増やしたのであった。


「相変わらずルシアン=ワイズは捕まらないけどまぁいいわ~。彼ってば悪役令嬢のお兄ちゃんなんでしょ?妹を断罪する時にいくらでも接点が出来るはずぅ~」


と、虎視眈々とルシアンも狙っている聖女リリス。


今はとにかく早くデイビッドが帰ってくるのを待ちわびる自称ヒロインなのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] あ~せめて前世でなろう読んでれば、"転生者が居る世界での自称ヒロインの末路"を知っていただろうに(笑)。
[一言] 何度読んでもイタイ女ですな~
[一言] スゴいなぁ~。自己肯定力の高さ…。と思いました。
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