過去を振り返って……あの時のフェリックス① 報告
今回から過去のフェリックスにスポットを当ててみたいと思います。
本編ではサラッとしか触れなかったクリフォードへの報告と、クリフォードの尻もちシーンをどうぞ☆
るちあんとの触れ合いは次回までお待ちくださいませ(๑>◡<๑)
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「へ……?今、何と言った……?」
アデリオール王国第二王子クリフォードがこれ以上ないくらいに目を大きく見開いて言った。
それに幼馴染であり専属護衛騎士であるフェリックス=ワイズが答える。
「探し続けていた女性が見つかった」
「そうではないかと探っていた薬剤師の女性かっ!やはり彼女で間違いなかったのかっ!?」
「ああ」
迷いも澱みもなく答えるフェリックスにクリフォードは慎重に訊ねる。
「彼女があの夜の相手だという確証はあるのか?そう思い込みたくてそこをおざなりにしているのではないだろうな?」
「互いの一生に関わる事でそんないい加減な事をするわけがないだろう。ちゃんと身体的な特徴があるんだ。彼女には間違いなくそれがあった」
フェリックスが言っているのはハノンの胸元にある魔障による傷の事だ。
赤く引き攣れた傷跡。
フェリックスはそれを“赤い花”と表現している。
まぁそこまで教えるつもりはないが。
それを告げて他の男がハノンの服越しにでもその赤い花を想像すると思うと腸が煮えくり返るからだ。
長い付き合いだ。クリフォードにはフェリックスのその胸の内がわかるらしく、それ以上詳しくは訊いて来なかった。
そしてこの四年間、フェリックスが必死になって探し続けていた女性と再会出来た事をクリフォードは素直に喜んだ。
「まぁ良かったじゃないか。正式に婚約を結ぶんだろう?」
「いや、もうすぐにでも籍を入れる」
「……いくらなんでも性急すぎないか?」
「性急なものか。既に息子が生まれていたんだ。今すぐにでも入籍して、きちんと家族になりたい」
「なっ!?へっ!?はぁぁっ!?息子っ!?」
既に父親であった事を明かされて、さすがに驚いたクリフォードが思わず椅子から転がり落ちた。
そして強かに尻もちをつく。
「おい、大丈夫か?」
フェリックスはクリフォードの腕を引き上げ立たせてやった。
「い、痛たた……、誰の所為でこんなに驚いたと……え、ちょっと待て、息子だと?」
「ああ。ルシアンというんだ。三歳になったばかりだそうだ」
「……あの夜の子、という訳か」
「そうだ。髪色も瞳もワイズの血を色濃く継ぐ可愛い子だぞ」
「もうメロメロか」
クリフォードにツッコミを入れられて、フェリックスは考え込むように顎に手を当てた。
「不思議なんだ……昨日までその存在すら知らなかった我が子なのに。顔を見て、その柔らかく温かな体に触れた瞬間から愛しさが込み上げて堪らなくなった。可愛いんだ、とにかく可愛くて仕方ないんだ」
「そうか……」
優しげな表情を浮かべる友の顔にクリフォードはただ頷いた。
この男にこんな顔をさせるのだから、親子の絆というものは大したものだ。
「既に父親になっていたのか……良かったな、おめでとうフェリックス。心から祝福するよ」
「ありがとう。感謝するよクリフ。お前のおかげでもあるのだから」
「よせよ…親友じゃないか」
と、心温まる男の友情を感じていたクリフォードに、フェリックスはしれっと告げた。
「という訳で、俺は今夜から西方騎士団の官舎ではなく、彼女の家に滞在するから」
「は?」
「息子のルシアンが今日も一緒に寝ると言って聞かなくてな。何せまだ三歳だ。父親である俺が寝かしつけてやらないとな」
などと若干ドヤるフェリックスにクリフォードは言った。
「お前、護衛騎士としてそれはどうなんだ?」
「夜間の警護は元々、別シフトだろう。もちろん日中は身命を賭してお守り致しますよ殿下?」
フェリックスが最高にいい笑顔で騎士の礼を執った。
「まったく調子にのりおって。まぁいい。せいぜい四年の月日を頑張って取り戻すんだな」
「ああ、そうするよ。もう絶対に離れない。離さない」
そう言ってフェリックスはその日の仕事を終えた後、嬉々としてハノンとルシアンが待つアパートへと帰って行った。
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次回、「ぱぱかえってちた!」でしゅ。
よろちくび。




