過去を振り返って……小さな灯火①
今回はるちあん卿爆誕に触れるお話です。
一部性表現があります。+エロディ発言に注意!
苦手な方は自衛をお願いいたします。
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卒業式の夜にフェリックス=ワイズと関係を結び、
逃げるようにハイレンに来たハノン。
勤め先の西方騎士団近くに古いアパートを借り、
必要最小限で生活用品を揃えてなんとか暮らしを整えた。
後は働きながら買い揃えてゆけばいい。
ハイレンへ移り住んだと同時に、貴族令嬢であった自分の事は忘れるのだ。
まぁ元々貴族令嬢らしからぬ生活を送っていたのでなんの感傷もないが。
そして西方騎士団の医務室勤め一日目に、
ハノンは生涯の友との出会いを果たす。
「ハァイ!アンタが新入りの魔法薬剤師?
アタシはメロディ=フレゲ。よろちくび♪
ウフ♡アンタ今、え、男?女?どっち?と思ったデショ。そんなのどっちでもイイのヨ~ン♡」
男性にしては化粧の映える華やかな顔立ち。
だけど女性にしては上背も肩幅も、骨格自体がしっかりしている体つきだ。
これが世に言う“おねぇ”か、とハノンは内心感心しながらメロディと名乗った同僚と見られる人物に挨拶を返した。
「よろしくお願いします。ハノン=ルーセルです。アデリオール王都の魔術学園を卒業したばかりで、至らない点は多々あると思いますがどうぞよろしくご指導ください」
「あらま、礼儀正しい子ネ。でもアタシ、堅苦しいのは苦手なのヨ。どうか気楽に接してちょーだい♡アタシの事はメロディって呼んでチョ」
「ではわたしの事もハノンと。よろしくねメロディさん」
「さんも要らないワ」
「そういう訳にはいかないわ。先輩だもの。ケジメよケジメ」
「いやん♡
“ケジメ”ってなんかエッチくない?陰毛で締めるの?モ~♡ハノンったらスケベ~~♡」
「エッチくないし、スケベでもないから」
これはなかなか刺激的な職場だと初日から思ったハノンであった。
そして三日後には終始こんな調子のメロディに感化されてか、ハノンはメロディに対しさん付けをやめていた。
今は仕事で新しく覚える事が満載だ。
慣れない作業に四苦八苦して毎日ヘトヘトだし。
おかげであの夜の事を、彼の事を思い出す機会はあまりなかった。
このまま過去の事に。
なかった事になってゆくのだろうと思っていた矢先に、ハノンは風邪のような症状に悩まされていた。
倦怠感、と片付けるには足りないくらいに体が鉛になったように重くて怠い。
寝ても寝ても寝足りなくて万年寝不足のような状態だ。
月のものとは違う感じの下腹部の張りも感じていた。
そういえば今月は月のものが遅れている。
ーーまさかね。
一瞬頭に浮かんだ事をハノンは打ち消した。
だけど、関係を持ったのだから可能性はゼロではない。
あの時、フェリックス=ワイズは熱に浮かされながらも射精は外にしてくれていたけど……
しかし避妊に絶対はない、とは以前何かの授業で医療魔術師である講師が言っていた。
「……確かめなくては」
ハノンは終業後に、産科専門の医療魔術師の診療所へと行った。
問診と検診を受け、結果は………
「おめでとうございます。妊娠8週目、おめでたですよ」
「え……」
やはりというかまさかというか。
ハノンはフェリックス=ワイズの子を身籠ったのであった。
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次回更新は木曜日です。




