表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電書、書籍発売】番外編 無関係だったわたしがあなたの子どもを生んだ訳  作者: キムラましゅろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

136/140

簡単更新 小さな主君

三年の任期を終え、近衛騎士として王宮に戻ってきたルシアン。


お粗末な嫌がらせを受けていたミシェルと共にポレットの私室へと訪った。

正式な辞令は出ているものの出仕開始日は明後日なので、今日は個人的な面会となる。


「お兄様!」


入室したルシアンを見るなり、ポレットは顔を綻ばせてルシアン()の元へと飛び込む勢いで駆け寄った。

ルシアンは優しい笑みをポレット()に向けながら言う。


「そんなに急いで、転んだらどうするんだ」


「転びそうになったらお兄様が助けてくれるもの。小さな頃からそうだったでしょう?」


「それはもちろん」


「ふふ」


夫であるデイビッドからの寵愛と、嫡男を産んだ事により妃の座を盤石なものとしているポレットだが、ワイズ家の家族の前ではただのポレットに、兄が大好きな妹に戻るのだ。


「そしてこれからは、シルヴェストを守ってくれるのね」


そう言ったポレットがベビーベッドで眠る我が子を見た。

ルシアンもそれに倣い生後間もない未来の君主へと視線を向けた。

これからルシアンが命を賭して守る主君であるシルヴェストへと。


「さっきお乳を飲んで眠ったばかりなの。よく眠る子だから一度眠ったらなかなか起きないのよ。雷が鳴っても平気で眠っているわ」


「豪胆な子だな。ワイズのお祖父(じい)様に似たんだな」


「ふふふ。側でよく顔を見てあげて」


ポレットに促され、ルシアンは静かに甥っ子の元へと歩み寄る。

その健やかな寝顔を見て、自然と顔が綻ぶ。


「可愛いな……。そして驚くほどデイビッド殿下にそっくりだ」


「そうなの。髪色も面立ちも笑っちゃうくらいにデイ様にそっくりなの。……でもね、」


そう言ったポレットの、母親の声に反応したのか、眠っているはずのシルヴェストの瞼がゆっくりと開いた。


「……わぁ……!」


生後間もない甥の瞳を見たルシアンが静かに感嘆の声を漏らす。

赤ん坊独特の、澄んだ青白い白目の真ん中に据わるその虹彩は、ワイズの血が流れる証である真緋色であった。


シルヴェストの瞳とルシアンの瞳、ふたつの赤い瞳の視線が重なり合う。

まだ視力が未熟であろうシルヴェストが一心にルシアンを見つめている。

ルシアンはそっとその小さな手に触れ、大きな両の手で包み込んだ。

そしてそのままその場に跪く。


「シルヴェスト殿下、お初にお目にかかります。

私の名はルシアン・ワイズ。貴方の伯父であり、貴方に生涯剣を捧げる者です。以後、お見知り置きを」


ルシアンが小さな主君と邂逅し、そして忠誠を誓った瞬間であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! ルシアン様も、昔にいろんな人に優しく触れられたり、可愛がられたのよ!! 小さな君主が自身の周りの凄さ(飛び抜けた個性)に気づくのは何時のことやら(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ