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【電書、書籍発売】番外編 無関係だったわたしがあなたの子どもを生んだ訳  作者: キムラましゅろう


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羨望と僻み

女性近衛騎士として王孫妃であるポレットに侍るミシェル。

彼女は宮中で、一部の人間のちょっとしたアイドルでもあった。

その一部の人間とは、侍女やメイドや女性文官たちといった、王宮に勤める女性たちだ。


小柄で華奢なミシェルだが、凛とした美しさや立ち振る舞いが男性を演じる歌劇の女優のようだと羨望を向けられているのだ。

そんな女性たちの中で、ミシェルファンクラブまでもが存在している……らしい。


「きゃあっ……!ミシェル様よ、相変わらず素敵ねぇ……!」

「今日はお姿を拝見できてラッキーだわっ……」

「私なんて、廊下で落として散乱した書類を一緒に拾って貰ったのよ。ふふ、羨ましいでしょう?」

「また隠し撮りした魔術念写(お写真)が出回らないかしら……」

「歌劇の劇中の名台詞、『心は自由だからだってばよ!』ってミシェル様に言っていただきたいわぁ……!」

などと、女性たちは今日もミシェル(推し)談義に花を咲かせていた。


一方、羨望に対し対角線上にあるのが(ひが)みである。

西方大陸内でも屈指の先進国であるアデリオール王国において、貴族でありながらと職業婦人として働く女性は数多いる。

女性騎士とてまた然りだ。

だが入団後すぐに近衛騎士に、ましてや王族専属の護衛騎士に抜擢されるのは稀である。

そのため騎士道精神をその剣に誓った騎士の中であっても、どうしてもミシェルに対し妬み嫉みを抱く者が出てくるのだ。


彼女の実力は明白であるのに、その出自ゆえに厚遇されていると不条理に僻む。

そしてそれを表立って向けてくる者が時折現れるのであった。


()()()()()()()、辺境仕込みの剣技を是非ともご教示願いたい」

と、練習を名目にミシェルを痛い目に遭わせてやろうと目論む輩だ。

……まぁそんな奴ほど実力が伴わず、ミシェルに返り討ちに遭うのが関の山だが。




「え?目薬が欲しい?目をどうかしたの?ミシェル」


練習試合と見せかけた虐めを企んだ先輩騎士を鍛錬場の地面に沈めた後、ミシェルは王宮内の医務室へと向かった。

そして魔法薬剤師として復職している叔母のハノンに、洗浄効果のある目薬を調剤してほしいと頼んだのである。


「練習試合中に相手が足払いで砂をかけてきたの。すぐに躱したのだけれど、一応目を洗っておきたくて……」


それを側で聞いていたメロディの眦が見る間に釣り上がる。


「相手の騎士が砂で目潰しを企んだってコトッ!?なんて姑息で卑怯で矮小で短小なヤツなのっ!!」


「でも、戦場ではそれもひとつの戦法だもの。練習試合だからと油断した私が悪いの」


「ナニ言ってんノッ!?喩え実戦を想定した訓練であったとしても目潰しとキンテキはご法度なのヨッ!そんな基本中の基本、学生だって知ってるわヨッ!」


学校のカリキュラムで剣技の授業を受けていたかつての貴族令息が、真っ赤なルージュの唇から唾きを撒き散らしながらそう吼えた。

そのやり取りを聞いていたハノンがメロディとミシェル、二人に言う。


「……確かに細かな砂の粒子が目に入っている可能性があるわね。とにかく目を洗浄しましょう。ミシェル、こちらへいらっしゃい。それからメロディ、その相手の騎士への個人的報復は止めておきなさいよ」


ハノンに釘を刺され、メロディが唇を尖らす。


「えぇ~ナンデよォ?目ん玉とキ○タマをほじくり出してコロコロ転がしてやろうと思ったのにィィ~」


「とても冗談に聞こえないから怖いのよ。それに、騎士に罰則を与えるのはアナタの仕事ではないでしょう?」


「あ、そうだったわネ。アタシなんかより数倍怖ぁ~い人が近衛の長だったわネ♡」


怖~い近衛の長……の妻であるハノンは否定も肯定もせず、ただ肩を竦めた。

まぁわざわざハノンが注進しなくても、きっとすでに違反行為がフェリックスの耳に届いているはずである。

ミシェルに打ち負かされた上に厳罰に処される騎士は自業自得だが、それによってまたミシェルが妬まれるのではないかという懸念をハノンは抱いた。







─────────────────────




来週は多分お休みです。

( ´•̥ω•̥`)ゴメンナサイ…





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