ノエル、せんせぇに会いにいく
「パパー!ここ?ここにノエルのせんせぇがいるのー?」
フェリックスはこの日、
娘のノエルを連れてハイラム王国ジェスロ市街13丁目小高い山の上1丁目1-1に在る、とある一軒家を訪れていた。
そこだけ街の喧騒から隔絶された、
こんもりと緩やかな丸い丘の上に広がる青々とした芝生の空間。
煉瓦造りの門扉の他は生け垣も柵も何も無い入り口。
その向こうには白壁に赤い屋根の小さな家があり、隣には信じられないくらい大きな木が立っている。
普通はこの場所には誰も辿り着けないという。大賢者バルク・イグリードが自ら“陋屋”と呼ぶ、彼の自宅だ。
そこに彼の弟子であるアルトとその妻ツェリシアが共に住んでいる。
アルトの妻ツェリシアもとある特殊な能力を持っていた高魔力保持者であり、結婚後はバルク・イグリードに師事した経緯を持つ高位魔術師である。
アルトとツェリシアのひとり息子であるトワも十三歳になり、今はジェスロを出て勉強のために精霊界に渡っている。
可愛い息子が不在となり寂しさマックスのそんなツェリシアに、今回ノエルの指導を願いたいという依頼がきた。
生徒はアルトの幼馴染の六歳になる末娘だという。
生まれついた類まれなる魔力量と才を持つノエル・ワイズ伯爵令嬢。
聞けば自分と同じく、美味しいものを食べるのが大好きな少女だそうではないか。
「体内の魔力を安定させるためにすっごくカロリーを必要とするのよね。だから食べても食べてもお腹が空くの。まぁわたしは、お腹の中の悪魔さんが居なくなってから少しマシになったけれど、そういう体質の人間っているのよ。……わかったわ、わたし以外にノエルちゃんを導ける者はいないわね!任せて!ノエルちゃんの師匠になりましょう!」
ツェリシアは弟子入りの話を持ってきた夫であるアルトに二つ返事でそう答えたのであった。
「……ツェリなら絶対に引き受けるんだろうなと、そう思っていたよ。じゃあワイズ家に諾と返事をするよ」
「ええお願い!ノエルちゃんかぁ……可愛い子なんだろうなぁ……!」
「両親の器量を受け継いだ、とても美しい子だったよ。中身はそうだな……ウチの師匠とはなるべく会わせたくないかな……」
「そうだったわね、アルトは事前にノエルちゃんと面会してるんだったわね。ぷ☆ふふふ、“混ぜるな危険”というヤツね」
「……でも絶対に師匠が好きなタイプだよ、あのノエルちゃんという子は……」
「まぁ!じゃあわたしとも絶対に気が合うわ。ふふ、ノエルちゃんに会うのが楽しみ♪」
ツェリシアはそう言ってノエルのために解りやすい教本を集めなくてはと計画を立て出した。
そうしてあれよあれよと日は過ぎてゆき、今日はとうとう初顔合わせの日。
フェリックスは何地点か経由してハイラム王国までやってきたのであった。
「パ、パパ……ノエルがチャイムをおしてもいい?」
ノエルがやや緊張した面持ちで父親に訊ねると、フェリックスは穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「ああ、いいよ。押してごらん。そしてツェリシア先生が出て来たら、きちんとご挨拶をするんだよ」
「はいパパ!じゃあおすね」
ノエルが赤い屋根の家のチャイムを押す。
するとややあって、
「は~い!」
という元気で優しそうな女の人の声が聞こえて来た。
パタパタとルームシューズの足音が玄関に近付いて来る。
ノエルはドキドキしながらドアの前で待った。
そして………
今回時間がなくて短めでごめんなさい。
。°(° ᷄ᯅ ᷅°)°。
次回、混ぜるな危険?




