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謎の男装仮面女との対立だ

「――――今この駒を無くすのは少々我々としても看過できませんもので」


 無表情の上に笑顔の仮面を着けた男装の女――――


 ―――“プレジャー”と名乗った女は感情を見せない目でそう言った。



 プレジャー…………“喜び”だと? 

 ハッ! 冗談だろう? せめてその目をやめてから言おうか。


…………にしても、こいつは少しばかりヤバイな。

 

 俺の額にツーっと汗が流れる。

 だが、元社畜としてはポーカーフェイスを崩すわけにはいかない。

 常に笑顔を張り付けておくのも、必須スキル。本当の感情を見せないのもまた、必須スキル。

 世の社畜がどうかは知らないが少なくとも俺の会社ではそうだった。


 

 ヤバイっていうのは、プレジャーが俺の、ひいてはここにいる全員を出し抜いてここに現れたことだ。


 自信無くすなぁ。


「ああ、先に言っておきますが、流石の(わたくし)でも貴方のような強大な力を持つ神を欺ける程の力は有りませんで、あしからず」


 おっ? 思考を先読みされたか?

 まぁ、さっき“我々としても”と言っていたな。その関係か?

 恐らくは何らかの集団の一員と考えるのが妥当だな。


 そして、このマサト、勇者(笑)を利用していた、と。


 

「なあ、そこのマサトをどうする気だ?」


 俺はプレジャーに問いかける。


…………内心では全く別のことを考えながら。


「ふむ。(わたくし)に許されている発言は限られておりますので、可能な範囲で答えさせて頂きます」


 プレジャーは気品を感じさせる動作で恭しく答える。


「こちらのアマザキ様は我々の集団の使う道具の一つです。これが無くなりますと我等の計画に支障がでます」


 平然とマサトを道具呼ばわりか。

 それより、


「ほう、そうなのか。ところで、我々の集団、ってなんぞ?」



「それはですね。我等の軍団である、“盤上の感情”。通称、フィルボードのことです」


 おっと、あっさり教えてくれるんだな。


「フィルボードの目的は?」

 

「…………ふむ、そうですね。それなら教えても……」


 プレジャーは顎に手をあてて少し考える仕草をすると、



 いきなり後ろに振り返り、手を勢いよく振り払った。


「おやおや。いきなり参上させて頂いたわたくしが言えたことではありませんが、少々無作法ではありませんか?」


 

…………チッ。


 俺との話に集中させて気をそらしたんだが、通用しなかったか。


 プレジャーの背後に回り込ませたウルの行動が。


 俺とウルはプレジャーが現れたことを感知した瞬間から念話での話し合いをしていた。


 その結果、取りあえずプレジャーに目印をつけることにした。

 前に俺が使った引き寄せ会う魔力だな。巨神との戦いでの技だ。


「…………弾かれましたか。これでもそれなりに気配を消していたのですがねぇ?」


 アリシアに手伝ってもらって気配を消していたウルが現れて、苦々しげに言う。


「ええ。これでも(わたくし)盤上の感情(フィルボード)の感情を司る末席ですからね。このくらいは」


 どうやら、感情を司る部門的なもんがあるらしい。


「さて、質問は終わりですか? では(わたくし)はそろそろ……」


 魔法かなにかで、マサトを浮かせたプレジャーが言う。

 だが、まだ一つ、聞きたいことがある。


「待ってくれ!」


「?」


 プレジャーが動きを止める。



「ナナシは? あいつもフィルボードの一員なのか?」


 俺がそう問うと、


 初めてプレジャーが感情を見せた気がした。


「…………さぁ、どうでしょうかね。(わたくし)にもわかりませんね。どなたでしょうか?」


 嘘だ。こいつは嘘をついてる。

 社畜の時に幾度となく見てきたからわかる。



「では、これにて失礼します」


 プレジャーはそう告げると、次の瞬間には消えていた。



「……がるるるぅ」


 アリスが居なくなったプレジャーに向かって唸る。


…………俺の後ろに隠れて俺の服を握りながら。


「や、な感じの、人だったぁ……」


 へにょ~っと、へたりこんでしまった。


「大丈夫か?」


 俺は手を貸す。


「ん。だ、だいじょばない、かも?」


 アリスは俺の手をつかみ立ち上がると、そのまま俺に抱きついてきた。


「そうかそうか。怖かったか?」


 今日は色々あったからな。勇者(笑)に、新たな集団の登場。

 不安になったのかもな。


「んにゅ。怖かった」


 俺はアリスをゆっくり撫で続けた。



「あ、アリス…………どさくさに紛れて…………恐ろしい子……!」


 ん? ウルが何か言っているが、聞こえない。今日も適当な神竜イヤーは健在みたいだ。



 俺は抱きついているアリスが笑っていたことを、ついぞ知らない。


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