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第28話:後日譚

 俺と咲季ちゃんは周囲からの関係を切った。いや、逃げたと言ってもいいだろう。あれから電車で数駅移動して乗換えた。別の路線で全く新しいの縁もゆかりもない場所に移り住んだのだ。


 家具は便利屋に頼み、貸コンテナに保管してある。時期を見て回収する予定。


 幸い「浮気男1」と「運気男2」、そして「元嫁」からの慰謝料があったのでカネの心配はしなくてもよかった。まあ、元嫁だけは分割で弁護士に払い続けるのだから、ここに数えていいのか悩むほどしかまだ入金がないのだけど。


 結局、マコトは元嫁を精神的にコントロールしていたようだ。どの程度その行動や思考に影響したかは分からない。俺は専門家じゃないし。


 不倫よりもっと酷いかもしれない。元嫁の心どころか、思考まで別の男の手の中だったとは……。


 高校時代の友達ともしばらく距離をおこうと思う。10年後、20年後には同窓会とかあるかもしれない。そのときは、縁があったら参加すればいい。別に飛行機や新幹線の距離離れたわけじゃない。アンテナさえ張っていれば情報くらいは入ってくるだろう。


 仕事は辞めなかった。でも、ボスに事情を話して別の支店に移してもらった。職場の人達には惜しんでもらったけど、辞めるわけじゃない。また会える。


 俺はこの仕事で絶対必要な資格とあったら重宝される資格の2つを取った。おかげで給料が上がった。「高卒」は義両親からも嫁からも言われていたからコンプレックスになっているけど、別に額に「高卒」って書かれているわけじゃない。


 今の年収がそこそこなら、別に俺は困らない。食べていければ十分だ。


 そして、俺には同棲するような彼女ができた。それは……。



 ○●○


「ほんとに俺に付いてきてよかったのかよ」

「だから、大学は大丈夫ですって! リモート授業なんですから! 卒業できます!」


 俺の新居は2LDK。築浅の賃貸マンション。不動産屋の俺としては将来を見据えるとここ数年がライフスタイルが変わり続けるときと思い、買うのではなく、借りる選択をしたのだ。


 それでも広いキッチンと広めの風呂、広くて明るいリビングのお気に入りの家だ。ウォークインクローゼットはない。


 そして、キッチンには咲季ちゃん。


 エプロンを付けて朝ごはんの準備をしてくれている。


 元々、実家でもリモートで授業を受けていたらしく新しいものが理解できない義両親としては咲季ちゃんのことを「引き篭もり」と判断していたらしい。


 疎まれていたので家は出たかった、と。料理も和食中心で、彩りが茶色の家だったので料理にも不満があったのだとか。


「今朝はフルーツパンケーキです♪」

「これは映えそうだなぁ……」

「写真は撮りません。哲也さんの心の中だけに映えてたらそれでいいです」


 いや、これはインスタとかやったらすごいフォローが付きそうなんだが……。


 咲季ちゃんの料理は、和食はもちろん、洋食、中華とレパートリーが広い。大学では心理学を学んでいるらしいけど、料理も好きで、将来は料理が心に働きかける効果を考慮した料理を動画で公開したいのだとか。


 なんか平和な日常……。元嫁の浮気を疑ってからすごく時間が経っているようで、実際は2〜3ヶ月くらいなんだよなぁ……。


 嫁のスマホは見ないほうがいいって意見も多いけど、俺の場合は見たほうが絶対によかった。


「あ、不安になってます?」


 咲季ちゃんが心配してくれているようだ。元嫁への未練はないけど、元嫁の行為の画像とか動画が強烈すぎて、ふいにフラッシュバックがあるのも本当。


「大丈夫だよ」

「あ、じゃあ。私のスマホの画像フォルダ見ます?」

「え? いや、いいよ」


 浮気を疑い始めたらキリがない。24時間相手の行動を把握するようなことはできないし、したくもない。やっぱり信じられる相手としか信頼関係を築いて、積上げて行くことなんかできない。


 でも、まあ。その点、咲季ちゃんのスマホのフォルダの画像は想像がつく。きれいに盛り付けられた料理の画像がたっぷりあるはずだ。


「ほらほらー。こんなですよ〜」


 見たいとか言ってないのにスマホの画像フォルダを見せつけてくる。水戸黄門の印籠みたいにドヤ顔で……。


 そこには俺の寝顔集かと思えるほどの画像、画像、画像……。


「寝顔を盗撮するのやめてください」

「敬語とか……ほんとに嫌みたいじゃないですか! 私の楽しみなので許してください」


 みたい、じゃなくて、ほんとに嫌なんだよ。好かれているのは悪い気はしないけどね。咲季ちゃんはかわいいし、笑顔も破壊力が凄まじい。


 思い切って聞いてみた。


「なんで俺? アラサーだよ? 咲季ちゃんからしたらおっさんだろ?」

「んー……、料理を褒めてくれた……それだけじゃないけど」


 咲季ちゃん曰く、料理はかなり好きみたいで、それでも実家ではあまりさせてもらえなかったのだとか。


「だから、哲也さんに褒めてもらったら、ズキュゥゥゥンって感じで!」


 その中途半端なジョジョネタはほとんど通じないからね? しかも一部だし!


 まあ、うちでは料理してくれたら、俺としては嬉しいけど……。


「あ、もちろん、元々いいなって思ってましたよ?」


 取ってつけた感じだ。幸せだし、まあいいか。お互い好き同士が一緒にいられて、ご飯が食べていければ十分だな。


「咲季ちゃん、幸せにするよ」

「え? もう幸せですけど?」


 ……だそうだ。今の幸せに気付ける人は本当に幸せな人だろうし、不倫とか浮気とかに目が向くはずがない。俺は彼女ともう一度頑張ってみようかという気がしている。



〈了〉


ここまでお読みくださりありがとうございました。

2025年3月15日amazon限定の電子書籍(kindle)と

書籍ペーパーバックでリリースします!

そのままkindle化しても芸がないので、書ききれなかったところを掘り下げます。


書ききれなかったマコトのこととか書けたら、と思います。

あと、咲季ちゃんも。


嫁のスマホを見たんだが

―浮気の証拠を発見! しかし、そこには恐ろしい事実が隠れていた—

https://sugowaza.xyz/catcurry/?p=489


日ごろこんなのを書いています。

https://sugowaza.xyz/catcurry/

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