PAPER 13-New World Order-1
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理想の姿は、人体模型だ。
あの筋肉と血管や内臓が剥き出しの、怪物のようなオブジェだ。
デス・ウィングは、自分の容姿が美しいという事を知っている。
顔も、髪も、胸も、腹も、腰も、男性から見て、完全に近い程に魅力的であり、同時に、同性である女性からも、強く妬まれるような姿である事を知っている。
けれども、デス・ウィングは、自らの容姿に価値を持てなかった。
最近、夢想しているのは、自分の自己のイメージ像は、人体模型に近いのではないかという事だ。皮膚が無く、筋肉や血管が剥き出しの、人体模型だ。
以前は、白骨標本をイメージしていたが、白骨に美しさを感じる者は多い。
おそらく、顔形という外側を取っ払った、筋肉が無きだしの、あのグロテスクな人体模型の標本こそが、もっとも鏡の前に映る自分の姿と、他の人間が見えている醜悪なものの姿に、自己のイメージの像が近いのではないかと、彼女は考えている。
なので、今は寝食に使っている、骨董店の二階の部屋に、人体模型の写真を貼っている。鏡を見るように、人体模型を見ながら、本来あるべき、自分の姿を眺めている。
彼女の心の在りようは、彼女が自我に芽生えた頃から、異形だった。
人間は、理想の異性像を頭の中で作り出して、それを他人や創作物の中に見い出すのだろう。自分は他人から、美しいと思われる時に、酷く不気味な感覚に襲われる。
彼女が力に目覚めた頃、身体は変化を遂げていった。
汚らしいニット服の下は、空洞の霧となっている。
おそらく、それは当時、自分の姿が、実体の無い霧のように感じたから、そのような姿へと変貌したのかもしれない。




