トーナメント 7
第二回戦、準決勝戦。第二試合、アディシェスVSロタンの試合が始まった。
「第二回戦、第二試合、はじめっ!」
天使は、讃美歌のコーラスのような声を会場に響き渡らせる。
ロタンには、それがとてつもなく、不気味で邪悪な不協和音に聞こえた。
アディシェスが、闘技場の前に出る。
二回戦目からは、ハプニングとして、闘技場に、怪物が放り込まれる事になっている、その怪物の種類はランダムらしい。
「どうする? 降参すれば、命は助けてやってもいいが……?」
アディシェスは、宙に浮いていた。
次々と、ロタンの力によって、彼に襲い掛かってくる幽霊騎士達を、灰へと変えていく。
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突如、天空から、神とも悪魔とも付かない、あるいは精霊にも見れる、奇形のモンスターが舞い降りてくる。頭部がいくつもあり、人型をしていた。
アディシェスは、少しだけ、ほんの少しだけ焦っていた。
あの怪物は、より力の強いものを標的にするのだろうか。攻撃の照準が、彼へと向かっていた。
光の輪だった。
それが、闇色の虹と重なりながら、アディシェスへと向かって攻撃してくる。
アディシェスは右手を振るった。
その異形の怪物の所々は、灰へと代わり、頭部の全ては空へとかき消えていった。
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「『ダーク・ムーア・アンダイイング』」
ロタンは、アディシェスの灰へと変える力によって、全身を粉々に吹き飛ばされていった異形の怪物
「俺は神の死体を“ネクロマンシー”によって蘇生させる事が出来る。悪魔や精霊といった類にも有効だったみたいだなっ!」
異形の怪物の死体が、アディシェスの全身を覆っていく。
「……スワン・ソングは偵察の為に、此処に来たみたいだ。私もそうしよう。勝利は貴様にくれてやる」
顔の見えない男はそう言うと、アンデッド化した怪物に飲み込まれていった。
「勝者、ロタン選手っ!」
審判の天使姿の女は、彼の右腕をつかみ、掲げる。
そして、残りは、アイーシャとロタンの試合のみになった。
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トーナメントは、メイン・ディナーであり、前菜やデザートといった競技が幾つか存在していた。それで、ボロ儲けした金融業者や政治家は多い。
この競技で、沢山の金が動く。
賭け金は、胴元だけが儲かる。
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アディシェスもまた、この地獄の王アクゼリュスと同じように『造物主』の手によって作られた存在だった。そして、手を抜いていたとはいえ、人間ごときの超能力者に敗北した。スワン・ソングは、また別の異世界からやってきた者だろう。
「さて、私は戻るとするか…………」
彼は、観客席に紛れ込む事にする。
「このトーナメントの優勝者は何に使うつもりなのだろうな? この辺りで降りるのが最善なのかもしれん」
アディシェスの推測によれば、おそらくは、軍事的な勧誘目的でも、この地下トーナメントは行われているのではないのかと思うのだ。ロタンとアイーシャ……、どちらかが、あの地上の全体主義国家の戦力として登用されるのかもしれない。




