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日常詩集⑤
詩:荷物
初めての荷物は、重荷になる
背負った荷物は、肥やしになる
「何か顔つき変わったね?」
荷物の多さは、顔の凛々しさ
背負った距離は、しわの長さ
見上げた空は、朗らかさ
道を歩けば荷物が増える
それでも、ぼくは背負いたい
君の笑顔が見たいから
詩:青春
砂漠に春が来た
サソリが並んでいる
砂漠に鳥が飛んで来た
サソリが歌を歌う
砂漠に花びらが舞った
サソリは輪を囲む
桜の木が丘にそびえる
麓には小さいオアシス
何かが水遊びをしている
サソリの子どもだ
5、6匹の子どもだ
お父さんは桜を見上げる
お母さんは脇に抱える
砂漠に春が来た
家族に春が来た
遅咲きの青春だ
詩:半月
月が満ちて来た
もうすぐ半月だ
満月まであと半月だ
「ぼくの半月をあげるよ」
私の影に、君の半月がくっついた
私の影を照らしてくれた
「君の星にも月があるんだね」
君は優しく照らしてくれた
私の影を照らしてくれた
月が満ちて来た
もうすぐ半月だ
君が照らせば満月だ




